IFRSでは、IAS27号「連結及び個別財務諸表」において、親会社の支配下にある企業集団の連結財務諸表の作成および表示について定めています。当基準では、連結の範囲について、親会社は全ての子会社を連結することを規定しています。
また、現在、IASBでは連結プロジェクトを進めており、2008年12月に公開草案ED10号「連結財務諸表」を公表しました。現行ではIAS27号における支配の概念とは別にSIC12号「連結-特別目的事業体」において、特別事業目的体(SPE)の支配に関する指針が示されていることから、ED10号では、連結の規定について首尾一貫性が損なわれるという懸念に配慮し、企業の支配の定義を明確にした上で、連結会計に関する単一の指針を示すことを目的としています。
(設例)
当社は100社を超える企業集団を形成しており、従来から日本基準の指標を目安に重要性の低い子会社については連結しない方針としています。また、支配獲得後即時に連結することも体制の整備など実務上の面から困難なため、重要性を勘案しながら一定期間連結しないこととしています。IFRSにおいてもこのような方針は引き続き認められるでしょうか?
(解説)
IFRSにおける連結範囲の考え方は、「全ての子会社を連結しなければならない」とされています。「原則として連結しなければならない」といった表現ではなく、基準上は全ての子会社を連結することが求められていますので、IFRSでは、いわゆる非連結子会社という概念が存在しません。ご存知のとおり、日本基準においては、資産、売上高、損益、利益剰余金の水準からみて、重要性が乏しいと考えられる子会社については、これを連結の範囲に含めないと規定されています。実務上は、以前に「実務上の参考」(監査委員会報告第52号「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用等に係る監査上の取扱い」平成11年3月24日改正)として紹介された「3%ないし5%」を重要性の指標として採用しているケースも見られます。一方、IFRSでは、このような重要性の基準はないため、他の会計処理と同様、「財務諸表の作成及び表示に関するフレームワーク」に記載されている一般的な重要性から判断されることになると考えられます。その際には金額的影響だけでなく、あらゆる視点から検討する必要があります。また、子会社をいつ連結するかについても、IFRSにおいては、日本基準のようなみなし取得日の規定がありませんので、全ての子会社について支配獲得日において連結することが求められます。ただし、実務上は、連結範囲と同様に、一般的な重要性に照らして、支配獲得日に連結することの必要性について検討することも可能であると考えられます。
(設例)
当社は事業として積極的に投資を行っており、一時的に株式のほとんどを保有して当該投資先を支配する状況になりますが、1年以内に売却することが予定されている場合には当該投資先を連結していません。IFRSにおいてもこのような方針は引き続き認められるでしょうか?
(解説)
旧IAS27号においては、一時的な支配の子会社を連結除外する規定がありましたが、IFRS5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」の公表に伴い、IAS27号から当該連結除外規定が削除されました。すなわち、転売目的で保有している子会社についても連結した上で、売却目的保有として分類される要件を満たす資産(および処分グループ)についてはすべて、IFRS5号に従ってその資産(または処分グループ)を帳簿価額と公正価値(売却費用控除後)のいずれか低い金額で評価することになります。
(設例)
当社は3月決算ですが、特定の子会社は現地における法的要請から12月決算となっています。また、事業規模が小規模であり経理部員も不足しているため、現状では親会社の報告期間に合わせて決算を行うことが困難な状況です。このため、報告期間を合わせることはせず、決算日の差異によって生じる重要な親子会社間取引を調整することで対応しています。IFRSにおいてもこのような対応は引き続き認められるでしょうか?
(解説)
親会社と子会社の報告日が異なる場合には、子会社は、連結の目的上、実務上不可能でない限り、親会社の財務諸表と同じ日付現在の財務諸表を追加で作成する必要があります。実務上不可能な場合とは、あらゆる合理的な努力を払ったとしても不可能な場合とされており、例えば、人員が不足している場合や子会社の決算作業が遅いというだけの理由では認められない可能性があります。また、親会社の財務諸表と同じ日付現在の財務諸表を子会社が追加で作成しない場合、IFRSにおいては、異なる報告期間に生じた重要な取引や事象の影響に関して調整をしなければなりませんが、日本基準では当該調整対象を同期間から生じた連結会社間の取引に係る重要な不一致に限定している点でその取り扱いが異なることから、留意が必要です。また、この場合であっても、両基準ともに子会社と親会社の報告日の差異は3カ月以上であってはならないとしています。