小売・消費財産業  |  製品保証に関する論点

質問 3-1: 製品保証について会計上何らかの処理が必要ですか?

(設例)
当社は、ガーデニング製品の製造・販売を行っており、販売した時点から1年間は製品の不良欠陥が発生した場合の修理または新品への交換の保証を行っています。当社は過去販売した製品についての修理発生についての実績を管理しており、今後発生する見込みの製品保証費の見積を合理的に行うことができます。この場合、会計上どのような処理が必要ですか?

答

3-1: 製品の販売した時点で将来発生する製品保証費相当額を合理的に見積り引当金を計上する必要があります。

(解説)
IAS37号14項では、引当金の認識要件として以下3つの要件を満たしている場合には引当金を認識することを求めています。

  • (1) 企業が過去の事象の結果として現在の債務(法定又は推定的)を有している
  • (2) 当該債務を決済するために経済的便益を持つ資源の流失が必要となる可能性が高い
  • (3) 当該債務の金額について信頼のある見積りができる場合

これらについて、それぞれ要件を満たしているかを検討していきます。

(1)の「過去の債務発生事象に起因した現在の債務」の要件については、債務発生事象については、当該販売は保証付きの製品販売契約であることから、そこから法定債務が発生しているため要件を満たしていると考えられます。
(2)の「決済時における経済的便益をもつ資源の流失」の要件については、IAS37号24項の「同種の債務が多数ある場合(例えば、製品保証あるいは同種の契約)、決済に要するであろう流失の可能性は同種の債務全体を考慮して決定される。1つの項目に対する流出は可能性が低いかもしれないが、同種の債務を全体としてみると決済するのに必要となる資源の流失の可能性は高いことがある」との規定から製品保証全体しては流失の可能性は高いと考えられます。
(3)の「信頼のある見積」については、設例において合理的な見積を行うことができるとされていることから要件が満たされていると考えられます。

以上、引当金の認識要件を全て満たしていることから報告期間の末日以前に販売された製品の製品保証費用の最善の見積額を引当金として計上する必要があります。

質問 3-2: 製品保証期間に発生する費用について外部の保険会社と契約を締結し、一定の保険料を支払うことによって発生する補償費用を保険でカバーすることにしましたが、この場合Q3-1で計上した製品保証引当金は取り崩すことができますか?

(設例)
Q3-1の状況において、当社は保険会社Aと保険契約を締結し、保証期間に発生する保証費用を当該保険契約でカバーすることとしました。今後発生する保証費用全額を保険会社に請求することができることとなったため、当社は計上した製品保証引当金を取り崩す予定ですが、IFRS上認められる会計処理でしょうか?

答

3-2: 保険会社に発生した保証費用を全額請求できる場合であっても製品保証引当金と相殺することはできないと考えられます。

(解説)
設例のように保険契約によって全額発生費用をカバーすることができる場合であっても、それをもって製品保証についても義務が消滅したことにはなりません。顧客は保証費用を直接会社に請求できるため、依然として顧客に対して債務を有しています。依然として現在の債務が存在している限りはIAS37号にしたがって製品保証引当金を計上する必要があります。もし、全額保険会社に求償できるのであるならば同額債権として資産計上することになると考えられます。