製造業(一般)

はじめに

2009年6月、金融庁は「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」を公表し、2010年3月期から一定の要件を満たす企業の連結財務諸表について国際財務報告基準(以下IFRS)の任意適用を許容するとともに、日本における2015年もしくは2016年のIFRSの適用についての道程を示しました。このような事情を背景として、IFRSの適用に向けて具体的に検討を始める会社が増えてきました。詳細なルールがなく、原則主義であるとされるIFRSの適用にあたっては、会社の実態を正しく表すという目的を達成するために各社にとって最適な会計処理方針を選択していく必要があります。その過程で、会計処理は、業種別の実務に応じてある程度収斂されてくるものと考えられます。そこで、業種ごとに特徴的な事例をいくつか取り上げて、IFRS適用にあたっての業種別傾向と対策を欧州の事例等を踏まえて解説します。なお、文中意見にわたる部分については、筆者の私見であることをお断りします。

一般的な製造業を営む会社がIFRSを適用する際に遭遇すると思われる疑問点についてQ&A方式で解説します。
ここで一般的な製造業として想定しているのは、原材料を仕入れ、自社の保有する工場等の製造設備(固定資産)を使用して、主として見込み生産により規格製品を量産し外部の顧客に信用販売するという特徴を有する業種です。業種の特徴は営業循環過程に関連する項目に現れますので、特にIFRSの適用にあたって一般的な製造業を営む会社に共通する疑問点として、収益認識の会計分野からQ1収益認識の時点~出荷基準は認められるか、固定資産の会計分野からQ2固定資産の減価償却~税法に基づく耐用年数は認められるか、金融商品の会計分野からQ3貸倒引当金~貸倒実績率による一般引当は認められるかについて派生的な論点も含めて解説します。

あらた監査法人 IFRS製造業担当 公認会計士 岡本晶子

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