金融業  | 貸付金の利息の認識に関する論点

以下の設例では、現行のIAS39号の規定を基に解説します。現在、国際会計基準審議会(IASB)は「金融商品:償却原価及び減損」に係る会計基準の大幅な改訂作業中であり、新基準は2010年第4四半期に公表される予定です。

質問 1-1: 貸付金に係る受取利息について、会計上、収益認識する際の留意点について教えて下さい。

(設例)
当社は、通常の貸付金については、発生主義に基づき契約上の金利を用いて計算した金額を会計上の受取利息として収益計上しています。また、現時点の市場金利と契約金利との差異を調整するために債権金額と異なる価額で購入した貸付金については、債権金額と購入価格との差額部分を利息法により償却し、当該償却額を受取利息の調整項目として取り扱っています。

貸付金に係る受取利息について、収益認識する際の留意点について教えて下さい。

答

1-1: 会計上の受取利息は、原則として、実効金利(将来の予想残存期間を通じて、将来の現金受取見積額を貸付金の正味帳簿価額まで割り引く利率)を用いて計算します。

(解説)
日本基準においては、債権金額より低い価額または高い価額で貸付金を取得した場合で、その差額の性格が金利の調整と認められるときには、原則として、実効利子率を用いた利息法により受取利息を計算します。また、契約上、元利の支払が弁済期限に一括して行われる場合や規則的に行われる場合は、定額法により当該差額部分を償却することにより受取利息を計算することも認められています。

一方、IFRSでは、将来の予想残存期間(契約期間ではなく)を通じて、将来の現金受取見積額を貸付金の当初認識時点の帳簿価額まで割り引く利率として定義される実効金利を用いて会計上の受取利息を計算することを求めています。そのため、たとえば、対象となる貸付金に早期弁済可能条項やコールオプションが付されており、その行使により契約期間と予想残存期間が異なることが見込まれる場合、実効金利の計算を予想残存期間に基づき実施しなければなりません。さらに、契約当事者間で授受される受取手数料や取引費用について、それが実効金利と不可分であると認められるとき、これらを実効金利の計算に反映しなければなりません。したがって、通常の新規貸付の場合のように、取得価額と債権金額が一致している場合であっても、会計上の受取利息は、必ずしも約定金利と同じとは限りません。

質問 1-2: 実効金利の計算に含まれる貸付金関連の受取手数料には、どのような項目が含まれますか?

(設例)
当社は、貸付実行時に、受取利息とは別に案件実行時の一定の事務手数料を債務者から受け取っており、この手数料を受領時に収益として一括計上しています。このような取扱いは認められるでしょうか?

答

1-2: 通常、貸付金の実行に関連して受領する受取手数料が含まれます。

(解説)
IAS18号は、実効金利の計算に含めるべき受取手数料の一項目として、貸付金の実行に関連して受領する取組手数料を挙げています。具体的には、債務者の財政状態の評価、保証、担保等の評価、貸付条件の交渉、書類作成などといった活動に対応して受領する報酬が含まれる可能性があるとしています(14項参照)。

したがって、設例のような事務手数料は、一般的に実効金利の計算に含めるべき受取手数料に該当し、当該手数料を反映して算定した実効金利に基づき、将来にわたって受取利息の一部として収益認識することになります。

質問 1-3:実効金利の計算に含まれる貸付金関連の費用には、どのような項目が含まれますか?

(設例)
当社は、貸付実行時に追加的に発生する外部経費を、発生時の費用として会計上処理しています。このような取り扱いは認められるでしょうか?

答

1-3: 通常、貸付金の実行の都度、追加的に支払義務が発生する外部費用が含まれます。

(解説)
IAS39号は、実効金利の計算に含めるべき取引費用を貸付金の実行に直接起因する増分費用と定義し、さらに、増分費用を貸付金を実行しなかったと仮定した場合には発生しない費用と定義しています(9項参照)。

したがって、設例のような外部経費は、一般的に実効金利の計算に含めるべき関連費用に該当します。