前回は一般的な製造業を営む会社がIFRSを適用する際に遭遇すると思われる疑問点を取り上げましたが、今回は自動車産業独自のトピックについて、IFRS適用にあたっての傾向と対策を解説します。なお、文中意見にわたる部分については、筆者の私見であることをお断りします。
自動車産業はわが国の主力産業のひとつであり、世界的競争力を持った業界です。多くの自動車メーカーは海外に生産・販売拠点を設置し、グローバル経営を推し進め、急成長を遂げてきました。2008年9月以降の世界的な経済環境の悪化に伴い、新車販売台数の急激な減少の影響で、自動車産業全体の業績が大きく落ち込んでいます。自動車産業は自動車メーカーを頂点として、自動車メーカーに対して部品を納入する部品製造会社、そして、自動車メーカーから車両を購入し、エンドユーザーに車両を販売する車両販売会社から構成されるといえます。その中で、今回は、(1)エンドユーザーへの車両販売、販売会社への販売報奨金(リベート)の支払といった、収益認識に関する会計処理、(2)自動車メーカー、部品メーカーで行っている研究開発に関する会計処理、(3)自動車メーカーが部品メーカーに対して、または、部品メーカーがさらに下請けの部品メーカーに対して支払を行う、金型費に関する会計処理について、Q&A方式で解説します。
あらた監査法人 IFRS自動車産業担当 公認会計士 千葉達哉、氏原亜由美、山本憲吾