再挑戦-金融資産の減損モデルを改善する
最新の動向
今週(2011年12月12日の週)、米国財務会計基準審議会(FASB)と国際会計基準審議会(IASB)(以下、両審議会)は会議を開き、貸付金と負債証券を含む金融資産の減損の目的と測定アプローチについて合意しました。 両審議会は、数カ月間にわたる再審議と議論の末、金融資産の減損の領域におけるコンバージェンスを進展させているようです。これらの議論は、減損に関する共同プロジェクトに対する両審議会の再審議の取り組みの一環をなすものです。
両審議会はまだ再審議の結論を出しておらず最終基準も公表していないため、当In brief に記載される今回の決定は暫定的で変更される可能性があることに留意する必要があります。減損モデルのプロジェクトに関する両審議会の決定の概要のすべては、FASBのサイト でご覧いただけます。
主な規定
概要
簡単に要約すると、金融資産のポートフォリオは、減損の測定のため3つのカテゴリー(「buckets」)に区分されます。資産は、当初はBucket 1に分類され、12カ月分の予想損失額に基づいて減損の測定が行われます。信用度の悪化が発生した場合、資産はBucket 2またはBucket 3のいずれかに移行されます。Bucket 2およびBucket 3における減損の測定は、資産の全期間の予想損失額に基づいて行われます。
予想損失額
過去の審議において、両審議会は、期待値の観点から予想損失を見積もらなければならないと決定しており、これは今週の会議でも支持されました。企業は、期待値という概念に基づいて、可能性のある結果を識別し、それぞれの結果の発生可能性を見積もり、そして確率で加重平均した金額を算定する必要があります。両審議会は、期待値という目的を達成するための合理的な手段として、その他の適切な方法も使用可能であることを決定しました。適切な方法の例として、(1)損失率法(債務不履行の可能性および債務不履行となった場合の損失額を考慮する方法)、ならびに(2)担保価値法があります。
Bucket 1
Bucket 1における引当金の目的は、今後12カ月の間に発生すると予想される予想損失額に対して、測定日時点で適切な引当金を計上することです。組成または購入日以降、信用度の悪化が重要でなく、企業が契約上のキャッシュフローを実質的に全額回収することを見込んでいる金融資産は、Bucket 1の測定とすることが可能です。Bucket 1の要件を満たすか否かを評価するため、資産は、同質のリスク特性をもつ資産プールにグルーピングされるか、または個別レベルで分析される必要があります。
Bucket 2 および Bucket 3
全期間の予想損失の認識は、(1)当初認識以降の信用の質の悪化の程度、および(2)結果として契約上のキャッシュフローを回収できないリスクに基づいて行われます。当初認識以降、重要ではないとはいえない信用の悪化が発生しており、キャッシュフローを十分に回収できないことが少なくとも合理的に起こり得ると企業が判断した場合、金融資産はBucket 2またはBucket 3に分類変更されます。Bucket 2とBucket 3の違いは、単に「評価の単位」の違いです。Bucket 2は金融資産をポートフォリオ単位で評価し、Bucket 3は金融資産を個別に評価します。
Buckets間の分類変更
両審議会は、減損モデルの両方向への信用の遷移を考慮することに合意しました。たとえば、信用度が悪化した場合、Bucket 1からBucket 2へ、信用度の改善がみられた場合はその逆方向へ、分類を変更できます。企業は、buckets間で減損に関する分類変更を行う必要があるかどうかを決定する際、たとえば、一般的な経済やインダストリーの状況の変化、ならびに貸出審査基準および貸手の信用の質の変化など、さまざまな要因を評価し、考慮する必要があります。さらに、両審議会は、債務不履行の発生可能性はキャッシュフローの回収可能性を決定する上で特に重要な特性であることにも合意しました。
負債性証券モデル
当モデルは負債性証券にも適用されます。負債性証券は、全期間の予想損失額の認識の要否を判断するため、個別に、または同質のリスク特徴に基づいたグループで評価されます。信用度の悪化を表す主要な指標は、負債性証券の公正価値の変動になります。しかし、審議会のスタッフは、企業が負債性証券をBucket 2に分類変更すべき時期を決定する際の助けとなる、負債性証券に関する特定の要因について引き続き取り組む予定です。
両審議会は、概念的には上述のアプローチ案を支持していますが、「buckets」間の分類変更を引き起こす要素や事象、そしてこの提案モデルに基づく金融資産の金利の認識に関する審議を継続する予定です。
コンバージェンスは達成されるか?
関係者は減損モデルに関するコンバージェンスの達成を非常に重要だと考えているため、両審議会は、引き続きこの領域におけるコンバージェンスの達成に努めていく予定です。今週の暫定的な決定は、両審議会がこの目標達成に向け一歩近づいた可能性を示すものです。
次のステップは?
両審議会の決定は暫定的であり変更される可能性があります。両審議会が再審議を完了させた時点でパブリックコメント募集のために公開草案が公表される予定です。公開草案は、2012年上半期を目標に公表される予定です。