IASBがIFRS第1号を改訂: 深刻な超インフレに関する免除規定、および、指定期日の削除

2010年12月21日

深刻な超インフレ

何が問題となっているか?

国際会計基準審議会(IASB)がIFRS第1号「IFRSの初度適用」の改訂を公表しました。この改訂では、深刻な超インフレによる影響を受けた企業が、国際財務報告基準(IFRS)に基づく財務諸表の提示を再開する際、または、最初に提示する際の追加の免除規定を設定します。当該免除規定により、企業は、特定の資産と負債を公正価値で測定し、その公正価値をIFRS開始財政状態計算書におけるみなし原価として使用することが可能となります。
企業は、深刻な超インフレによりIAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に準拠することが出来ないため、IFRSに基づく財務諸表を一定期間作成することが不可能となることがあります。この免除規定は、企業がIFRSに基づく財務報告を開始することが可能となった場合に適用されます。


主な規定

当改訂では、以下の場合に、超インフレ経済の通貨が深刻な超インフレの影響を受ける、と記載しています。

  • 当該通貨による取引および残高がある全ての企業において、信頼できる一般物価指数が入手できない場合。
  • 当該通貨と比較的安定した外貨の間に交換可能性がない場合。
以下の事象が発生する場合、機能通貨が正常化した日となり、企業の機能通貨は深刻な超インフレの影響を受けなくなります。
  • 深刻な超インフレの特徴の一方または両方がもはや存在しない場合。
  • 初度適用企業が自社の機能通貨を深刻な超インフレの影響を受けない通貨に変更した場合。
企業はIFRS財務諸表の作成を再開した場合に、初度適用企業となります。
当該免除規定は、深刻な超インフレの影響を受け、さらに、IFRSを初めて適用する、またはIFRSを以前適用していた企業に適用されます。
企業のIFRSへの移行日が、機能通貨が正常化された日またはそれ以降の場合、企業は機能通貨が正常化された日より前に取得した資産または負債を公正価値で測定し、IFRS開始財政状態計算書において、その公正価値をみなし原価として使用することを選択することができます。
IFRS第1号では、移行日を、企業が最初のIFRS財務諸表において比較情報を表示する最初の期間の期首であると定義しています。機能通貨が正常化した日が比較期間内にある場合、(IAS第1号で求められる)完全な一組の財務諸表が12カ月間より短い期間で提供されるならば、当該比較期間は12カ月間より短くなる可能性があります。
IFRS移行日より前の期間に深刻な超インフレがある場合、企業はIFRSに準拠することができず、その期間の比較情報はIFRSに従って作成することができません。企業はIFRSに基づかない比較情報およびIFRS第1号に準拠した過去の推移の要約の開示について、それが財務諸表の利用者に有用な情報を提供するか検討しなければなりません。
企業がIFRSに準拠するためにこの新しい免除規定を適用する場合、企業はIFRSへの移行について説明し、機能通貨が深刻な超インフレの影響を受けなくなった理由およびその方法について説明しなければなりません。

経過規定

当改訂は、2011年7月1日以降に開始する年次会計期間より適用されます。早期適用も認められています。


影響を受ける企業は?

当該免除規定は機能通貨が深刻な超インフレの影響を受けた企業にのみ適用されるため、当改訂による影響は限定的である考えられます。ジンバブエ経済は2009年前半まで、深刻な超インフレの影響を受けた経済として特定されていました。当改訂は現在のところ他の地域に適用される可能性は少ないと考えられます。
深刻な超インフレによる影響を受ける企業に対して、支配、共同支配、または重要な影響を有する報告企業は、当該報告企業が初度適用企業である場合を除き、当改訂によってIFRS 第1 号における追加の免除規定が変更される、または、認められる訳ではありません。

何をすべきか?

在ジンバブエ企業の経営者およびジンバブエの企業に持分を有する初度適用企業は以下を検討する必要があります。
  • 機能通貨が正常化された日
  • IFRSへの移行日案
  • 比較期間が12カ月間より短い期間で提示されるか
  • 企業がIFRSへの移行日における公正価値による測定を望む資産と負債

指定期日の削除

何が問題となっているか?

IASBは、さらにIFRS第1号を改訂し、金融資産と負債を扱う一つの例外事項および免除規定に関する参照を削除しました。
最初の変更では、初度適用企業に対して、IFRSの認識中止要件を、2004年1月1日からでなく、移行日から将来に向かって適用することを求めています。
2つ目の改訂は、活発な市場がない場合に、評価技法を使用して公正価値を設定する場合の、当初認識時における金融資産または負債の公正価値に関連するものです。当該改訂により、IAS第39号AG76項およびIAS第39号AG76A項におけるガイダンスを、2002年10月25日または2004年1月1日からでなく、IFRSへの移行日から将来に向かって適用することが可能となります。つまり、初度適用企業は、移行日前までの期間における金融資産と負債の公正価値を決定する必要がないことを意味します。IFRS第9号もまた、これらの変更を反映するために改訂されました。


経過規定

当該改訂は、2011年7月1日以降に開始する年次会計期間より適用され、早期適用も認められます。


影響を受ける企業は?

IFRSへの移行日前に金融資産または負債の認識の中止を行った企業は、当改訂規定は強制的なものであることから、移行日から認識中止ガイダンスを適用する必要があります。2つ目の変更は評価技法により設定された公正価値についても免除規定を使用することを選択した企業にのみ関連します。