FASBが金融商品の会計処理の変更を提案 ※In Brief(PwC US)

2010年05月27日

最新の動向

2010年5月26日、米国財務会計基準審議会(FASB)は、会計基準アップデート案「金融商品の会計処理およびデリバティブ商品ならびにヘッジ活動の会計処理の改訂」を公表し、金融商品の分類と測定および減損についての包括的アプローチ案、ならびにヘッジ会計の改訂を示しました。広範にわたる新しい表示および開示要件が提案されています。

主な規定

分類および測定
この提案は、新しい再測定の方法を用いて評価されることになるコア預金の負債を例外として、大部分の金融商品を公正価値で測定することを要求しています。企業が公正価値の変動をその他の包括利益に認識することに適格でかつ企業がそれを選択した場合を除き、公正価値の変動は純利益に認識されることになります。金融商品がその他の包括利益処理に適格かどうかの決定は、企業の事業戦略およびその商品の特徴を重視して行われます。
ほとんどの満期保有目的の有価証券、投資目的に保有されている特定の貸付金、およびコア預金の負債など、負債性証券の多くはその他の包括利益処理が適格となる可能性があります。しかしながら、持分法に基づいて会計処理されていないすべての持分投資(市場性のない持分証券を含む)は公正価値で測定されることになり、その他の包括利益処理に適格とされません。また持分法による会計処理が適格とされるタイプの持分投資も減少することになります。
現在、会計目的上それぞれの構成部分に分離されている混合金融商品(資本部分を除く)については、金融資産全体を公正価値で測定し、公正価値の変動は純利益に認識されます。
公正価値による測定が、認識された資産および負債の測定上の不一致を生じさせるあるいは不一致を増加させる場合、企業は償却原価でその負債を測定することができます。ほとんどの短期債権債務は、償却原価で測定されることになります。

減損および受取利息の認識
その他の包括利益処理または償却原価が選択される金融資産には、単一の信用減損モデルが適用されます。信用の減損は、企業が契約により定められたキャッシュフローの全額を回収することが見込めない場合に、純利益で認識されます。企業は発生が確実な事象を待たずに損失を認識できるようになりますが、その代わりに、発生可能性のしきい値にかかわらず、過去の事象および資産の残存耐用年数にわたる契約上のキャッシュフローの回収可能性の現行の条件による影響を考慮する必要があります。この提案は、個々の資産ベースかプール・ベースかを含め、信用の減損を測定する範囲を示しています。企業は、各報告期間末に、信用の減損の最善の見積額を決定することになります。

ヘッジ会計
ヘッジ会計は、その他の包括利益処理または償却原価が選択されている金融商品に適用されます。ヘッジ会計が認められるリスクについては変更されません。しかしながら、ヘッジ関係が合理的に有効であることが要求されるのみである(有効性が高いことはもはや要求されない)ため、ヘッジ会計が適格とされることは容易になると考えられます。
簡便法および主要条件同一法(critical terms match methods)を用いることによってヘッジの非有効部分がないと仮定することはできなくなりますが、煩雑性の高い現行の有効性評価要件は大幅に削減されます。
またその他の変更案として、ヘッジ関係の任意の指定解除を禁止し、すべてのキャッシュフローヘッジ関係のオーバー・ヘッジおよびアンダー・ヘッジの両方にかかる非有効部分を純利益に認識することを要求しています。

コンバージェンスは達成されたか?

国際会計基準審議会(IASB)は、金融商品会計について根本的に異なる結論に至っています。とりわけ、IASBで最終化された金融資産に関する分類と測定のアプローチ(IFRS第9号)では、償却原価による測定を要求していますが、FASBでは、その他の包括利益処理に適格な金融商品について公正価値による測定を選択しています。またIASBは、異なる減損および利息認識モデルを提案しており、さらにヘッジ会計の提案を最終化しなければなりません。

誰に影響を与えるか?

この提案は、金融商品を保有または発行しておりヘッジ会計を適用しているすべての業種の企業に影響を及ぼします。金融機関(とりわけ、リテールバンクおよび商業銀行ならびに貯蓄金融機関)は、これらの変更により最も大きな影響を受ける可能性があります。

予定される適用日は?

FASBは、早期適用については禁止する決定を行っていますが、適用日についても決定しなければなりません。一部の(規模のテストの対象となる)非公開機関については、貸付金、貸付コミットメント、およびコア預金負債について再測定要件の対象とされるまで4年間の猶予があります。

 

※In Brief(PwC US)について:PwC USが発行する「In Brief」の日本語訳です。FASBおよびIASBが公表する公開草案、最終化した会計基準に加え、PwC USの見解が記載されています。

「※In Brief(PwC US)」と記載されているもの以外は、Straight away(PwC Global)となります。