純損益を通じて公正価値で測定する金融負債を除き、金融負債に関するガイダンスの変更なし

2010年05月12日

何が問題となっているか?

IASBは金融負債の会計処理に対応するための提案を公表しました。この公開草案では、金融負債の会計処理と表示は、金融負債が純損益を通じて公正価値で測定するものとして指定されている場合を除き、変更しないことを提案しています。また、企業が強制適用日よりも前にIFRS第9号における最終版のセクションの適用を選択した場合、以前の最終版のIFRS第9号のガイダンスの適用を求めるか否かに関するコメントも募集しています。

新しい測定ガイダンス
IASBは、以下の提案を除き、金融負債の分類と測定に関するIAS第39号「金融商品-認識及び測定」の既存のガイダンスを維持する意向です。負債に関する既存の要件には概して問題がなく、また、検討されている他のアプローチにおいて複雑性の少ないものや、より有用な情報を提供するものはないため、IASBは負債の会計処理を実質的に変更しないことを決定しました。

しかしながら、負債に関する主な懸念事項は公正価値で認識される負債の「自己の信用」による影響、つまり、負債の信用リスクの変化による損益計算書における公正価値の変動です。これにより、負債の信用格付けが格下げされた場合に利益が収益で認識され、負債の信用リスクが改善した場合に損失が認識される可能性が生じます。多くの財務諸表利用者は、特に負債の信用リスクが実現される見込みがない場合において、このことによる思わぬ影響が生じると見ています。以下で、この懸念に関するIASBの提案について説明します。

金融負債の会計処理の一般的な要件に対する変更はないため、金融負債の2つの測定分類(純損益を通じて公正価値で測定するもの(FVTPL)および償却原価)は継続される予定です。企業は、主契約と密接に関連していない金融負債に組み込まれたデリバティブを区分することも引き続き求められる予定です。また、区分された組込デリバティブは引き続きFVTPLで測定され、残りの主契約が金融負債であるものは償却原価で測定されます。

この提案では、FVTPLで指定される金融負債を有する企業は、2ステップの測定を行うことになります。第一に、金融負債の公正価値の変動は全て純損益を通じて認識します。第二に、負債の信用リスクの変更による公正価値の変動は、その他の包括利益(OCI)で認識し、利益または損失は打ち消されます。OCIの金額は純損益を通じてリサイクルされません。

FVTPLでの測定が求められる金融負債(企業が FVTPLでの測定を指定している金融負債とは区別される)については引き続き、全ての公正価値の変動を純損益を通じて認識され、OCIへの振替えは行われません。外国為替先渡や金利スワップのようなデリバティブ(組込デリバティブを含む)、また、銀行が売買目的のポートフォリオに保有している自身の負債については引き続き、全ての公正価値の変動が純損益で認識されます。

今回のEDには、フェーズごとにIFRS 第9号の早期適用を認めるとしたIASBによる以前の決定が含まれていますが、以前の最終版のガイダンスも同時に適用すべきであるとも提案しています。

どのような影響があるか?

当提案は、金融負債を純損益を通じて公正価値で測定するものに指定している企業に影響を与えます。例えば、FVTPLで保有されている金融資産との会計上のミスマッチを取り除くため、もしくは、組込デリバティブの区分処理を避けるために負債をFVTPLに指定している金融機関に影響を与える可能性があります。

当提案が合意された場合、2013年1月1日以降に開始する会計期間より適用される予定です。

何をすべきか?

コメントの期限は2010年7月16日です。経営者は、上記の提案を除く既存のIAS第39号のガイダンスに変更を加えないとするIASBの決定にコメントを行うかを検討する必要があります。