IASB、「採掘活動」プロジェクトに関するディスカッション・ペーパーを公表

2010年04月07日

何が問題となっているか?

IASBは、2010年4月6日、「採掘活動に関するディスカッション・ペーパー」(以下、DP)」を正式に公表しました。このディスカッション・ペーパーは、鉱物および石油・ガス産業の探査活動における現在の会計上の課題に取り組むための提案を行っています。IASBのホームページに数ヶ月間掲載されていたDP案から、公表されたDPにおいて変更された重要な点は以下のとおりです。

  • 勘定単位への原価配分アプローチと減損が発生したと見なされる時期の明確化
  • 提案されている探査資産の表示要件と資産が引き続き計上される理由についての追加的開示
  • 新しい埋蔵量の開示に係る監査において予想されるその範囲に関するガイダンス
このDPでは、採掘活動に係る財務報告に関する問題を検討し、以下の見解を提示しています。
  • 財務報告目的のための埋蔵量および資源の定義
  • 鉱物および石油・ガス資産の認識基準
  • 鉱物および石油・ガス資産の当初測定および事後測定
  • 開示の範囲および内容
DPにおける主な提案は以下のとおりです。
  1. 鉱物および石油・ガスの採掘活動に係る単一の財務報告アプローチ。主な事業活動(すなわち、探査、評価、開発および生産)ならびにリスクおよび不確実性は、両産業において極めて類似する。
  2. 財務報告のための埋蔵量および資源の定義は、鉱物埋蔵量国際報告基準審議会(CRIRSCO)およびこれと同等の石油技術者協会(SPE)の定義を用いるべきである。
  3. 鉱物および石油・ガス資産は法定の探査権を取得したときに認識される。開発活動と同様に、探査および評価活動から得た情報は、探査、埋蔵量および資源資産の増大を意味する。
    • (a)資産の認識および表示の際に行われるの(「勘定単位」の)詳細・集約レベルは、当初は探査権の地理的地域である。これが、探査および開発計画が進むにつれて範囲は狭まり、最終的には通常は単一の鉱山もしくは油田・ガス田が、一つもしくはそれ以上の勘定単位となる。
    • (b)有形固定資産に使用される構成要素アプローチは、鉱物または石油・ガス資産の構成要素に適用される。
  4. 鉱物および石油・ガス資産は取得原価で測定され、埋蔵量およびその現在価値は開示で補足されなければならない。取得原価の提案は以下の理由により推奨されている。
    • (a)アナリストによれば、財務諸表に計上される現在価値は、主としてアナリスト自身の現在価値の計算と比較して使用することを推奨している。
    • (b)公正価値は財務諸表の利用者に十分な便益をもたらすものではないとする、財務諸表作成者の費用対効果への懸念がある。
  5. 財務諸表における詳細な開示は以下のとおりである。
    • (a)商品別、国別(もしくは十分に重要性があるのであれば、プロジェクト別)の埋蔵量には以下を含む
      • (i)確定開発埋蔵量、確定未開発および推定埋蔵量
      • (ii)見積方法および仮定
      • (iii)主要な経済状況の仮定(例:価格に関する仮定や為替レートに関する仮定)に関する感応度分析
      • (iv)埋蔵量の変動調整表
    • (b)主要な地理的地域ごとの、確定および推定埋蔵量の現在価値もしくは公正価値の測定
      • (i)標準化された測定値もしくは公正価値による見積り
      • (ii)算定基準および仮定
      • (iii)感応度分析
      • (iv)埋蔵価値の変動調整表
    • (c)商品別の生産収益
    • (d)埋蔵量と同様に分解された5年分の費用の内訳
      • (i)探査費用
      • (ii)開発費用
      • (iii)生産費用
  6. 収益認識、棚卸資産の評価、資産除去債務、共同支配契約など、他の産業に共通の問題は当該プロジェクトの範囲外となります。
また、このDPはPublish What You Pay (PWYP)による提案についても検討しています。PWYPは、グローバルな市民社会団体で、鉱物および石油・ガス産業部門の企業の支払いや政府収入を強制的に開示するよう運動しています。PWYPの提案は前述のDPの開示と類似しますが、概してにより詳細で国別を ベースにしています。また、PWYPは、政府へのすべての支払い(たとえば、所得税、ロイヤルティなど)についても国別の開示を求めています。

どのような影響があるか?

このDPの提案は、小規模の鉱業企業から大手の統合石油メジャーまで、すべての鉱物および石油・ガス企業に適用可能となります。コメンテーターの見解が、将来の基準の方向性に重要な影響力を与える可能性があります。現在の提案は、探査費用の資産化に始まり、確定および推定埋蔵量およびその金額の分解された明細な開示に至るまで、鉱物および石油・ガスの探査段階における全ての段階の会計処理および開示に影響があると思われます。

何をすべきか?

IASBは現在、DPに関するコメントを公式に募集しています。コメント募集期間は2010年7月30日までです。業界の専門家、財務諸表作成者またはアナリストとして貴方から提供される情報は、有益な公開草案、および最終的には基準の策定のために重要です。貴国におけるプライスウォーターハウスクーパースの採掘産業の専門家が、このコメント期間中に貴方をサポートすることができます。