IASBが非金融負債の測定モデルに対する大幅な変更を提案

2010年01月05日

何が問題となっているか?

ASBは、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」における非金融負債の測定(以前の引当金)の改訂を再提案する公開草案を公表しました。当改訂案は、ほとんどの引当金の測定に影響を与え、ほぼ全ての企業に関係があります。当初の提案はもともと2005年に公表されており、今回の提案内容に含まれない部分については大幅な変更は行われないと予想されます。

IAS第37号を置き換える新基準は、2010年第3四半期に公表される予定です。

新しい測定ガイダンス

引当金は、期末日における債務を決済するために企業が合理的に支払う金額を現在価値で測定したものです。これは、価値の測定であり、企業に対する期待コストの測定ではありません。当該公開草案には、下記のいずれか低い方で測定を行うと記載されています。

  • 債務の決済に必要な資源の現在価値
  • 債務を取り消すために企業が取引相手に支払わなければならない金額
  • 債務を第三者に譲渡するために企業が当該第三者に支払わなければならない金額
債務の決済に必要な資源の金額が不明確な場合、当該引当金は予想される全ての結果(「期待値」)の加重平均を使用して測定されることになります。これが最終的な支払金額となることは稀ですが、見積りに内在する不確実性を反映するものとなります。引当金は、貨幣の時間的価値および期待値の算定に反映されていない負債に特有なリスクを反映した割引率を使用して割引かれることになります。

債務の取り消しや債務の決済に必要な資源の価値よりも低い金額で当該債務を第三者に譲渡する可能性はほとんどないため、引当金は通常、この金額で測定されます。例えば、訴訟の和解のために債務を現金で決済する場合、当該債務は、予想される現金支出に関連コストを加えて測定されます。

例えば、債務が製品保証や資産除去債務等のサービスの提供による場合、当該債務は、関連するサービスの市場価格に基づき、当該サービスの請負業者への支払金額で測定されます。当該サービスに市場価格が存在しない場合は、請負業者への支払金額を見積り、見積金額には当該サービスの請負業者が回収する直接的、間接的な費用およびマージンを含みます。

今回提案されたガイダンスは、昨今、多くの場合に用いられている引当金の測定方法とは異なります。多くの引当金は、期待値ではなく経営者による支払金額の最善の見積りにより測定されるため、期待値が加重平均により算定された場合、引当金の金額が大きくなる場合や、小さくなる場合があります。サービス提供の債務により生じた引当金のほとんどは、現行基準に基づき、債務の決済に必要な資源の価値ではなく、決済のための期待コストで測定されています。含まれる間接費用の範囲については実務上、多少相違があり、ほとんどの場合、請負業者により請求されるマージンは含んでいません。従って、当改訂案により、一部の引当金については、現在の計上金額を上回る結果となる可能性があります。

例えば現在、経営者が資産除去債務の引当金に必要な人件費および材料費の直接費用相当を計上している可能性もあります。当改訂案では、引当金に、直接および間接費用の回収分および第三者の請負業者により請求されるマージンを含むことを求めるでしょう。

当案への例外は限定されています。今回提案された測定ガイダンスは、IASBの収益認識および保険プロジェクトで現在審議中となっている、IAS第18号「収益」及びIFRS第4号「保険契約」における取引より生じる不利な契約には適用されないと予想されます。

影響を受ける企業は?

当改訂案はほとんどの企業に適用される可能性があり、その影響は大きいものと予想されます。特に、環境の復元や、資産除去等に関連する多額の引当金を現在計上している企業に影響があると予想されます。

何をすべきか?

コメント期限は2010年4月12日です。今回は大幅な変更が提案されているため、経営者はまず、IASBの提案にコメントするかどうか検討する必要があります。また経営者は、当該提案が既存の負債の測定にどのような影響を与えるのか、また、更なる情報を収集する必要があるかどうかについて検討を開始する必要があります。

IAS第37号を置き換える基準の作業草案は、2月にIASBのウェブサイトで公開される予定です。当該作業草案は、資源の流出の可能性が高い場合に負債を計上するとした規定を削除する等、現行のモデルに対して多くのその他の変更が加えられる予定です。経営者は、引当金の認識基準を変更する当案およびその他の変更について検討すると共に、これによる財務諸表への影響についても検討を開始する必要があります。