銀行の主要リスクは「信用リスク」と「市場リスク」ですが、その依存性について金融危機前はあまり注目されていませんでした。金融危機というストレス下においてこの両者の依存性は通常時と異なる挙動を示しました。「依存性が高まった」、「相関係数といったシングルファクターでは表現できない複雑な依存構造があった」等です。このような経験を踏まえ金融危機後は、より現実世界のリスクカテゴリ間の因果関係を分析しモデル化して勘案する必要性の認識が高まりました。こうした背景のもと、注目されている手法が「マクロ経済ストレステスト」です。これは、従来のリスクカテゴリ間で分断していたストレステストを統合するため、より根源に近い「マクロ経済のストレスシナリオ」を策定し、各リスクカテゴリへの定量的な連動性を勘案することによりリスクカテゴリ間の因果関係を補足する手法といえます。
図1 国内銀行における資産残高割合の推移

(出所:日本銀行時系列統計データ)
図2 国内企業の資金調達内訳の推移

(出所:財務省法人企業統計年報)
日本国内の商業銀行の足元の傾向を見ると、預金残高は純増しているものの1990年代後半より貸出残高が伸び悩み減少トレンドに入っています。このため、邦銀全体の資産運用手段は「貸出」から「国債・地方債」にシフトしています(図1参照)。戦後最長といわれた2002年2月~2009年3月の第14循環(ITバブル崩壊~金融危機)、いわゆる「いざなみ景気」では、GDP成長率の高まりに応じて資金需要も高まっていたものの、実際には内部調達を主としており(図2参照) 、貸出増加にはつながりませんでした。今後も、この傾向が継続されることが想定され、資産運用手段について現状維持を想定することは現実的ではなく、リスクリターン分析に基づく資産運用戦略を立案する必要があります。例えば、国債運用を増やし「金利リスク」をとるのか、新規顧客開拓を積極的に行い「信用リスク」をとりにいくのか、金融機関経営の大きなかじ取りが必要とされています。こうした場面において、上述の「マクロ経済ストレステスト」を活用し、リスクカテゴリ横断的なストレスの影響をあらかじめ想定した経営が肝要です。
図3 マクロ経済シナリオ分析の全体像

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マクロ経済ストレステストは、従来の仮想イベントヒストリカルなシナリオではなくマクロ経済ストレスを起点とし、各リスクファクター変動ストレスを反映したインパクト分析を行い、その結果を経営に活用するものです。
あらた監査法人は、クライアントと共同で検討する「定性的ストーリー」とあらた監査法人の「マクロ経済モデル」を組み合わせて「マクロ経済ストレス」シナリオを生成します。さらに、統計分析を用いてリスクファクター変動シナリオも生成します。
| 対象 | 生成手法 | 論点 |
|---|---|---|
| マクロ経済シナリオ | クライアントと共同で検討する「定性的ストーリー」とあらた監査法人の「マクロ経済モデル」を組み合わせてマクロ経済ストレスシナリオを定量的に導く | 「定性的ストーリー」を起点とすることにより経営者が理解しやすい 定量的モデルを活用することに蓋然性を特定しやすい |
| リスクファクター変動シナリオ | システマティック要因の抽出 主成分分析等を用いて各リスクファクターのシステマティック要因を抽出し、マクロ経済指標を説明変数とする回帰モデルを推定 |
金利の場合は、「水準」「傾き」「曲率」の3主成分で97%説明できることが知られており、理解しやすい |
| デフォルト確率/格付遷移行列 中央銀行等のマクロ経済ストレステストに利用されている変換モデルを参考にクライアント内部データの特徴を踏まえて検討 |
信用リスクファクターは0~100%の範囲に限定かつ偏在するため、あらかじめデータを変換するなど工夫を要する |
あらた監査法人は、これからの時代のストレステストおよびシナリオ分析において中心的な役割を担うと考えられるマクロ経済シナリオの導入に関して、全面的に支援します。あらた監査法人の支援内容の概要は以下のとおりです。