国際NPOのCDP、あらた監査法人と共同分析・執筆した調査報告書「CDP ジャパン 500 気候変動レポート 2013」を発表

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‐中長期的な事業戦略と一貫した気候変動対応に課題‐


CDP
あらた監査法人

CDP(本部:英国ロンドン、CEO:ポール・シンプソン、旧称:カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)は11月6日、日本の大手企業500社を対象に実施した気候変動への取り組みに関する調査報告書「CDP ジャパン 500 気候変動レポート 2013」を発表しました(回答企業数:227社、回答率:45%、調査時期:2013年2月~9月、ただし集計・分析対象は、期限までに回答のあった206社)。

CDPのグローバルアドバイザーを過去6年間務めているPwCの、日本におけるメンバーファームであるあらた監査法人(東京都中央区、代表執行役:木村浩一郎)は、昨年に引き続き、本調査における回答のスコアリングと報告書の執筆を担当しました。

本調査は全世界で11回目、日本では8回目となり、2013年の調査では、運用資産総額87兆米ドルに達する722の機関投資家の賛同を得て、世界中の約5,000社を対象に実施しました。本報告書は、そのうち日本の時価総額上位企業を中心とする500社を対象に実施した調査の結果をまとめたものです。

本調査の結果、日本企業の評価は、気候変動への対応に関する情報開示においても、また取り組みの実績においても、前年より向上しました。しかし、2021年以降など中長期の排出削減目標を設定している企業は、徐々に増加しているもののまだ多いとは言えず、自社の中長期的な事業戦略と一貫した気候変動への対応に課題が見られます。また、自社が地球温暖化の軽減や適応に資する活動に真摯に取り組み、実績を上げていることを、外部のステークホルダーにいかに説得力をもって伝えるかという、情報開示の面での改善も望まれる結果となりました。


「CDP ジャパン 500 気候変動レポート 2013」の主な結果

* 本報告書(日本語版)は、こちら [PDF 2,454KB]からダウンロードできます。また、 「CDP Japan 500 Climate Change Report 2013」(Language: Japanese)としてこちらにも掲載しています。

回答率・スコア

回答率は45%で昨年(47%)と比べ微減となった。情報の開示度合いを評価するディスクロージャースコアの平均は73点となり、昨年より6ポイント上昇した。気候変動緩和・適応に資する活動の度合いを評価するパフォーマンスバンドはB評価を得た企業が最も多くなり、C評価が最多であった昨年よりも向上した。

排出削減目標

94%の回答企業が総量または原単位での削減目標を掲げている。日本経済団体連合会の低炭素社会実行計画を反映して2020年を目標年度とする削減目標を掲げている企業が多く、2050年など超長期の目標を設定する企業は8社に留まっている。

排出実績

42%の回答企業がスコープ1排出量*1とスコープ2排出量*1の合計値が昨年より減少したと回答しており、昨年の55%よりも13ポイント減った。これには主に2つの理由が考えられる。まず、2011年には国内における電力使用制限の発動などにより多くの日本企業が従来の省エネ・節電の範囲を超えた対策を余儀なくされたのに対し、2012年には一定の電力供給が確保されたこと、そして供給電力が火力発電に大きく依存せざるを得なくなった結果、電力使用に伴う温室効果ガスの排出量を算定するための2012年度の排出係数が大幅に増加したことの2点である。
スコープ3排出量*1については、15のカテゴリーのうち平均3.9カテゴリーについて算定・回答されており、バリューチェーンにおける排出量を把握する取り組みが進みつつあることがうかがえる。今後は各企業の事業活動における影響が大きいカテゴリーを適切に把握することが期待される。

先進企業(CDLIおよびCPLI)の選出

本報告書では、回答企業の中から、気候変動に関する開示が特に優れている企業24社を「クライメート・ディスクロージャー・リーダーシップ・インデックス(CDLI*2)」、また気候変動に関する取り組みの実績が特に優れている企業12社を「クライメート・パフォーマンス・リーダーシップ・インデックス(CPLI*2)」としてそれぞれ選出し、延べ36社を公表している。なおCDLIとCPLIの両方に選出された企業は8社となり、昨年の4社を上回った。

CDPのCEOであるポール・シンプソン(Paul Simpson)は、「多くの国では景気回復の兆しが見え始めていますが、気候変動に対する科学的根拠がさらに確かなものとなり、異常気象が深刻化するにつれ、私たちが温室効果ガス排出量を削減しながら経済的繁栄を追求しなければならないことが明白になりました」と指摘した上で、「そのためには温室効果ガスの排出量が多い企業の努力が不可欠であり、政府はもっと彼らを後押しするインセンティブを提供すべきです。本報告書は企業、投資家、政策立案者のために書かれたものであり、世界の主な上場企業が自然資本を守るためにいかに自らを変革できるのかが理解できるでしょう」と述べています。

また、あらた監査法人のサステナビリティサービス部門 パートナーの三橋 優隆は、「気候変動に対する緩和や適応をより効果的なものにするには、超長期的な視野に立ち、自らのビジネスを環境・社会・経済のインパクトを含む幅広い指標で評価することが必要です。それによって企業の経営層が本当に重要な意思決定ができるようになり、さらに企業価値を高められるはずです」と述べています。

さらに同部門ディレクターのスコット ウィリアムズは、「IPCC*3第5次評価報告書は、今こそ行動すべき時だと明確に述べています。2013年のジャパン500の回答からは、先進企業はすでに低炭素の行動と思考を組織のDNAに埋め込む旅路についたことが読み取れます。自社の将来の価値創造とリスク管理戦略を明確な科学的論証と矛盾させないよう取り組む企業が、さらに増えることが期待されます」と続けています。

CDPは今後も投資家と企業の対話を促進することにより、気候変動の緩和に向けた取り組みを推進します。また、あらた監査法人は、PwCのグローバルネットワークと連携し、地球温暖化対策に係るリスクと機会を考慮した持続可能な価値創造に向けた事業活動の提案、包括的なインパクトの算定と対応策、ディスクロージャーの促進支援など、さまざまなサービスを提供していきます。

以上

*1 スコープ1,2,3排出量とは
スコープ1排出量 直接的な温室効果ガス排出量。企業が使用した燃料等に由来するもの。
スコープ2排出量 エネルギー起源の間接的な温室効果ガス排出量。購入電力、熱等に由来するもの。
スコープ3排出量 その他の間接的な温室効果ガス排出量。企業のバリューチェーンで生じるもの。

*2 CDLIおよびCPLIの選定条件は以下のとおり。
  • CDLI:
    • 回答を公開し、CDPのオンライン回答システムで提出する
    • 全回答企業の上位10%内のディスクロージャースコアを獲得する
  • CPLI:
    • 回答を公開し、CDPのオンライン回答システムで提出する
    • 86以上のパフォーマンス・スコアを獲得する
    • GHG削減に関する質問12.1aで、前年の排出削減活動の結果として満点を獲得する
    • スコープ1とスコープ2の排出量の数字についてグローバルでの総計を開示している
    • スコープ1とスコープ2の排出量の検証に対して満点を獲得する
*3 IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change (気候変動に関する政府間パネル)

「CDP ジャパン 500 気候変動レポート 2013」の調査概要

調査主体: CDP
*企業からの回答のスコアリングおよび報告書の執筆はあらた監査法人が担当
調査目的: 事業・政策・投資判断において必要な情報を提供することにより気候変動に関する問題解決を促進する
調査期間: 2013年2月~9月
調査対象: FTSEジャパンインデックスに該当する企業を基本とし、国連責任投資原則(UNPRI)日本ネットワークが選定した500社
調査方法: 対象企業が統一の質問書に対してオンラインシステムにより回答した内容を統一の評価方法に従って採点する
回答数: 227社(回答率45%)。なお、本報告書では回答の集計・分析開始までに回答のあった206社を対象に集計・分析を行っている
調査内容: 気候変動管理、リスクと機会、排出量の3つのセクション、14の質問からなる。気候変動に関して広範囲に質問を設定しており、各質問の意図に沿って適切に、自社の活動に沿った具体的な回答をすることが求められる
  • 気候変動管理:
    ガバナンス、戦略、排出削減目標と排出削減活動、コミュニケーション
  • リスクと機会:
    気候変動がもたらすリスクと機会、およびその財務影響と管理手法
  • 排出量:
    排出量算定方法、スコープ1、2、3排出量、排出量の外部検証/保証、排出量変化、排出量データの正確性、排出原単位、排出量取引、エネルギー使用量、バリューチェーンとの協働
評価方法: 各企業の回答は、情報の開示度合いを評価するディスクロージャーと、気候変動緩和・適応に資する活動の度合いを評価するパフォーマンスの2つの軸で評価する。ディスクロージャーの評価は100を満点とするスコアで表す。パフォーマンスの評価は6段階のバンドに分け、A、A-、B、C、D、Eで表す

* 本報告書(日本語版)は、こちら [PDF 2,454KB]からダウンロードできます。また、 「CDP Japan 500 Climate Change Report 2013」(Language: Japanese)としてこちらにも掲載しています。

CDPについて
CDPは、企業や都市の重要な環境情報を測定、開示、管理し、共有するための唯一のグローバルなシステムを提供する国際的な非営利団体です。 CDPは、企業が環境や天然資源に及ぼす影響を開示するように、またその影響を軽減する対策を取るように、合計87兆米ドルの資産を持つ722の機関投資家を含む市場経済とともに働きかけています。 CDPは現在、気候変動、水、森林に関するリスク商品情報のグローバル最大の一次データを有しており、これらの知見をビジネス、投資、政策の戦略的な意思決定の場に提供していきます。詳細はwww.cdp.netをご覧になるか、@CDPをフォローしてください。
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