国際NPOカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト、大手日本企業の気候変動への取り組みに関する調査報告書「CDPジャパン500気候変動レポート2012」を発表

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-あらた監査法人が、回答のスコアリングと報告書の執筆を担当-


カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト
あらた監査法人

カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(本部:英国ロンドン、CEO: ポール・シンプソン 以下、CDP)は10月30日、日本の大手企業500社を対象に実施した気候変動への取り組みに関する調査報告書「CDPジャパン500気候変動レポート2012」を発表しました。本調査において、あらた監査法人(東京都中央区、代表執行役:木村浩一郎)は、回答のスコアリングと報告書の執筆を担当しました(回答企業数:233社、回答率:47%、調査時期:2012年2月~9月、ただし集計・分析対象は、期限までに回答のあった214社)。

CDPは2003年より、世界の主要企業を対象に、多数の機関投資家を代表して、温室効果ガスの排出や気候変動による事業リスクや事業機会に関する情報を収集・分析し、その結果を公表しています。全世界では10回目、日本では7回目となる2012年の調査では、運用資産総額78兆米ドルに達する655の機関投資家の賛同を得て、世界中の約5,000社を対象に調査を実施し、そのうち日本の時価総額上位企業を中心とする500社(以下、ジャパン500)を対象に実施した調査結果を本報告書にまとめました。

本報告書では、企業の気候変動への取り組みを「ディスクロージャー(情報開示)」と「パフォーマンス(実績)」の2つの軸で評価しています。今回、回答を寄せた日本企業の評価はディスクロージャー、パフォーマンスとも昨年より向上しました。これは、多くの企業が購入電力の使用削減などに取り組み、6割を超える回答企業が温室効果ガス(GHG)排出量を前年より削減したと回答したこと、また、中長期的なGHG削減目標を設定したり、GHG排出削減活動を具体的に開示したりする企業が増えたことなどによるものです。

この結果を踏まえ、CDPは今回初めて、ジャパン500の回答企業の中から、特に情報開示や取り組みの実績に優れた企業延べ27社を以下の2つのカテゴリーで選出し、本報告書で公表しました(報告書37ページ参照) 。

  • カーボン・ディスクロージャー・リーダーシップ・インデックス(CDLI)
    気候変動に関する開示が特に優れている企業(22社)
  • カーボン・パフォーマンス・リーダーシップ・インデックス(CPLI)
    気候変動に関する取り組みの実績が特に優れている企業(5社)

「CDPジャパン500気候変動レポート2012」の主な結果

* 本報告書(日英併記)は、英文名称「CDP Japan 500 Climate Change Report 2012」としてこちらに掲載しています。

回答率・スコア

回答率は47%で昨年(43%)と比べ微増となった。ディスクロージャースコアの平均は67点となり、昨年より6ポイント上昇した。

削減目標・削減活動

96%の回答企業が総量または原単位での削減目標を掲げており、また、69%の企業が2020年以降の中長期の削減目標を掲げている。2050年以降の目標を設定する企業も増えている。
投資回収3年超の設備投資を行う企業が増加している。投資回収に比較的時間がかかる温暖化対策に対しても関心が高まっていることがうかがえる。

排出実績

64%の回答企業がスコープ1排出量とスコープ2排出量の合計値が昨年より減少したと回答している。これは2011年度に多くの日本企業が購入電力使用量の削減に努めたことが影響していると考えられる。
スコープ3排出量については、回答企業の75%が何らかの排出源を報告している。輸送、配送(下流および上流)や出張、購入した製品・サービス、販売した製品の使用による排出源についての回答が多く、また年々その把握・報告される排出源数も増加している。

注)スコープ1,2,3排出量とは
スコープ1排出量 直接的な温室効果ガス排出量。企業が使用した燃料等に由来するもの
スコープ2排出量 エネルギー起源の間接的な温室効果ガス排出量。購入電力、熱等に由来するもの
スコープ3排出量 その他の間接的な温室効果ガス排出量。企業のバリューチェーンで生じるもの

CDPのCEOであるポール・シンプソン(Paul Simpson)は、「異常気象が市場に多大な金銭的損害を引き起こしています。だからこそ投資機関は、企業に気候変動へのレジリエンスについてさらに考えてほしいのです。まだ対応の遅れている企業もありますが、企業に行動を促す経済的要因は増加しており、多くの投資機関は排出量データを要望しています。強固な経済の構築を目指す政府としても、このような動きを注視すべきでしょう」と述べています。

また、あらた監査法人 サステナビリティサービス担当 ディレクター スコット・ウィリアムズ(Scott Williams)は、「2011年には、東日本大震災後の特殊事情により、日本の多くの企業が排出削減を実現しました。しかし、2012年以降、エネルギーミックスの変化により排出量の大幅な増加が予想されます。私たちはかつて経験したことのない変化の時を迎えています。日本のビジネスリーダーには、低炭素社会の実現に勇気をもって取り組むよう組織を変革するミッションが課せられています」と指摘しています。

企業が事業活動を安定的に行うには、気候変動に関するリスクを的確にとらえ、温暖化防止のための積極的な対応をとることが、もはや不可欠となっています。CDPは今後も投資家と企業の対話を促進することにより、気候変動の緩和に向けた取り組みを推進します。また、あらた監査法人は、メンバーファームとなっているPwC(CDPのグローバルアドバイザー)のネットワークと連携し、地球温暖化対策に取り組む企業に対し、コンサルティング、先進事例の紹介、ディスクロージャーの促進支援など、さまざまなサービスを提供していきます。

以上

「CDPジャパン500気候変動レポート2012」の調査概要

調査主体: カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)
*企業からの回答のスコアリングおよび報告書の執筆はあらた監査法人が担当
調査目的: 事業・政策・投資判断において必要な情報を提供することで気候変動に関する問題解決を促進する
調査期間: 2012年2月~9月
調査対象: FTSEジャパンインデックスに該当する企業を基本とし、国連責任投資原則(UNPRI)日本ネットワークが選定した500社
調査方法: 対象企業が統一の質問書に対してオンラインシステムにより回答した内容を統一の評価方法に従って採点する
回答数: 233社(回答率47%)。なお、本報告書では回答の集計・分析開始までに回答のあった214社を対象に集計・分析を行っている
調査内容: 気候変動管理、リスクと機会、排出量の3つのセクション、15の質問からなる。気候変動に関して広範囲に質問を設定しており、各質問の意図に沿って適切に、自社の活動に沿った具体的な回答をすることが求められる
  • 気候変動管理:
    ガバナンス、戦略、排出削減目標と排出削減活動、コミュニケーション
  • リスクと機会:
    気候変動がもたらすリスクと機会、およびその財務影響と管理手法
  • 排出量:
    排出量算定方法、スコープ1、2、3排出量、排出量の外部検証/保証、排出量変化、排出量データの正確性、排出原単位、排出量取引、エネルギー使用量
評価方法: 各企業の回答は、情報の開示度合いを評価するディスクロージャーと、気候変動緩和・適応に資する活動の度合いを評価するパフォーマンスの2つの軸で評価する。ディスクロージャーの評価は100を満点とするスコアで表す。パフォーマンスの評価は6段階のバンドに分け、A、A-、B、C、D、Eで表す

* 本報告書(日英併記)は、英文名称「CDP Japan 500 Climate Change Report 2012」としてこちらに掲載しています。

カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)について
カーボン•ディスクロージャー•プロジェクト(CDP)は、企業や都市の重要な環境情報を測定・開示・管理・共有するための唯一のグローバルシステムを提供している国際NPOです。CDPは、GHG排出量、気候変動および水についてのリスクと機会の評価に関する企業からの情報を収集するために、78兆米ドルの合計運用資産を有する655の機関投資家を代表して活動しています。CDPは現在、気候変動と水に関してグローバル最大の第一次データを有しており、これらの知見をビジネス、投資、政策の戦略的な意思決定の場に提供していきます。詳細は www.cdproject.netをご覧ください。
あらた監査法人について
あらた監査法人は、卓越したプロフェッショナルサービスとしての監査を提供することをミッションとし、世界最大級の会計事務所であるPwC(PricewaterhouseCoopers)の手法と実務を、わが国の市場環境に適した形で提供しています。さらに、国際財務報告基準(IFRS)の導入、財務報告に係る内部統制、また株式公開に関する助言など、幅広い分野でクライアントを支援しています。
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