ミツカングループ

分社型カンパニー経営を支える次世代基幹情報システムを構築

1998年に分社型カンパニー制を導入したミツカングループは、5カ年の中期経営計画において、次世代基幹情報システムの再構築を目指しました。テーマは「業績拡大に寄与する情報システムの構築」。
グループ内の多様な情報システムをERP(統合基幹業務システム)を核に統合し、集積されたデータをもとに構築する「マネジメント・コックピット」を駆使して、先進的なスピード経営を実現しようというものです。
当社は、2000年1月よりコンサルティング会社として、この「次期グループ情報化プロジェクト」に参画しました。
構想から3年余り、2003年3月より順次、次世代基幹情報システムは順調な本格稼働を迎えました。

分社型カンパニー制導入を機に情報システムを刷新

ミツカングループは1998年、新たに採用した分社型カンパニー制を基本とした5カ年の中期経営計画を策定しました。
分社型カンパニー制の事業単位は、家庭用調味料を扱うドライ事業カンパニー、業務用調味料を扱う業務用事業カンパニー、納豆などチルド食品を扱うチルド事業カンパニーの3つ。この3カンパニーを縦軸として、工場などの供給カンパニー、物流や情報システムなどのサービスカンパニー、資産カンパニーの3つを横軸に配しました。全体を統括するミツカングループ本社のもと、各カンパニーが役割・責任・権限を明確にしたうえで、自律的な成長を実現していこうというものでした。
このカンパニー制を機能させるうえで、情報システムの役割は極めて重要でした。従来のレガシーシステムで、カンパニー制に対応した業績管理のための情報収集を適時かつ効率的に行えるのか、あるいはグループ全体の観点から最適な業務プロセスが実現できるのか、さらにはネットワーク社会の進展を見据えたITの高度化に対応できるのか、また、レガシーシステムの構築を担った社員の引退時期が見え始め、情報システムを抜本的にホワイトボックス化することも大きな課題となっていました。カンパニー制導入を機に従来のレガシーシステムを刷新する必要性が生じていたのです。
そこで1999年8月に、「次期グループ情報化プロジェクト」がスタートしました。 プロジェクト・リーダーである、ミツカングループのサービスカンパニー、株式会社ナカノサービス、情報システム部部長の堀口辰男氏は、「当初はERPの導入も決まっていませんでした。ただ、単に情報システムの更新ではなく、再構築を機に経営スタイルの変革まで踏み込もうということになり、業績拡大に寄与するシステムの構築、というテーマが決まったのです」と、その経緯を語っています。

情報を可視化しスピード経営の実現へ

「業績拡大への寄与」というプロジェクトの概念的な目的は決まったものの、経営陣が具体的に何を望んでいるのか、果たしてそれを情報システムで実現できるのか、十分な調査と検討がまず必要でした。
そのためには、各カンパニーからのボトムアップを中心にした社内調整型のアプローチでは十分な求心力を得られないと判断し、基本構想策定段階から外部のコンサルティング会社を参画させることにしました。
複数の候補会社からなるコンペの結果、分社型カンパニー制導入時にコンサルタントとして発揮した能力と、情報システム構築に関する多くの実績、そして経営トップからの信頼感などの観点から、プロジェクトのパートナーたるコンサルティング会社として当社が選ばれました。
2000年1月から行われたミツカングループと当社による基本構想策定では、具体的テーマとして次の4項目が掲げられました。
 

  1. 業績管理の高度化
    KPI(業績管理指標)の設定や三軸(商品/顧客/組織)利益分析の導入などにより、スピーディで効率的な経営判断と透明性の高い業績管理を実現する。
  2. 需給情報のシームレス化
    統計的な需要予測と販売促進活動計画を同期化させ、かつ製販在計画との間に有機的な連携を確保することで、欠品防止率と在庫回転率の向上を高いレベルで両立させる。
  3. マーケティングの質とスピードの向上
    マーケッターが頻繁に使用する基礎的な情報をDWH(データウェアハウス)化することにより、効果的な情報検索や分析を実現する。また、開発書類作成の標準化とワークフロー化を通じて、製品開発業務の効率化を図る。
  4. チルド事業の業務基盤整備
    多角化経営を目指し、M&Aを通じてスタートさせたチルド事業において、業務レベル全般の底上げと経営管理レベルを向上させることにより、グループの一体化を図る。
これらのテーマの実現に向け、各カンパニー・各部署のシステムを、オラクル社製ERPを核に統合することが決定されました。ERPに集積されたデータをもとに、利益情報やKPIなどの経営情報はもちろんのこと、製販在情報などの業務情報がタイムリーに可視化・共有化でき、迅速・的確な意思決定あるいは業務判断を行うという経営スタイルが最終目標でした。

プロジェクトを成功へ導いた的確な羅針盤

今回のプロジェクトは業界でも例を見ないほど広範囲かつ大規模な取り組みであり、品質(Q)・コスト(C)・納期(D)のバランスを維持するために、非常に高いプロジェクトマネジメント能力とシステム構築能力が必要でした。それを実現するための推進体制として、プロジェクトマネジメントをミツカングループと
当社、システムインテグレーターとして富士通社と日本オラクル社が担当することが決まりました。QCDコントロールの厳しさから、プロジェクトは何度か重大な岐路に立たされましたが、最終的には4社のチームワークで、当初のマスタースケジュールを大きく変更することなく、所期の計画通りの情報システムを作り上げることに成功しました。
「どのような局面でも、弊社の立場に立ち、豊富な経験を活かした真摯なコンサルティングを提供してくれました。本プロジェクトの成功要因として、当初から目的やビジョンが一貫していたこと、プロジェクト体制が非常にうまく機能したこととともに、質の高いコンサルティングが挙げられます」と、堀口氏は述べています。
プロジェクトを成功させるための推進体制は、3つの階層から構成されました。
まず、参画各社のプロジェクトリーダークラスが参加するPM(プロジェクトマネージメント)会議を毎週開き、各社が抱える課題をオープンに協議し、解決策を練りました。次に、ミツカングループの各カンパニーを代表するカンパニー委員が、情報化プロジェクトとユーザーを結ぶブリッジ役を担い、ユーザー部門の参画意識を高めました。仕上げとして、定期的に開かれるミツカングループ、富士通社、日本オラクル社、当社の4社経営トップ層による責任者会議で逐次大きな意思決定を行いました。4社の経営トップ層がこの会議に参加することにより、本プロジェクトが参画各社の全社的総意のもとに進められていることを示すことができ、メンバーのコミットメントを得られました。

新システムの効果的運用による業績拡大に期待

このように、ミツカングループの次世代基幹情報システムは、順調なスタートを切ることができました。しかし、システム導入の最大の目的は、あくまでも業績拡大に貢献することであり、今後いかにシステムを効果的に運用していくことができるかが真価です。
堀口氏は「人的資源だけでも、のべ数千人月を投入した大プロジェクトです。それだけの貴重なリソースを使ったわけですから、その有効活用は私たちの使命ともいうべきものです」と、決意を語っています。
中でも堀口氏が期待を寄せるのは、 KPIを用いたマネジメント・コックピット経営の実践。マネジメント・コックピットという概念を、実際にエンタープライズレベルで実装した事例はまだまだ少ないのが現状です。
堀口氏は、「今回のシステム構築によって、本格的なマネジメント・コックピットを実現するための道筋が拓けました。今後の成果を期待してほしい」と、ミツカングループの経営改革に向けた抱負を語っています。

※社名・役職などは掲載当時のものです。