全日空商事株式会社

わずか5.5ヵ月で新営業システムを構築し、商社/貿易業務を効率化
精度の高い収益管理を実現
~先進のSAP®GTMと商社用テンプレートを活用~

全日空商事では、直販と紙パルプ、2事業部門の基幹系システムを刷新。
仕入れから販売に至る業務の効率化を目指す新営業システム「ATLAS」を構築し、2006年4月から本番稼働しています。
導入にあたっては当社の提案を採用して、SAP Global Trade Management(SAP GTM)を中核に据え、商社の利益創出に役立つシステムをつくり上げました。当社は、商社/貿易業務に関する深い知見を活かす一方で、SAP GTM向けに、商社系ベンダーが開発した商社向けテンプレートを用いて導入の短期化を実現しました。
わずか5.5ヵ月で予定通りにシステムを稼働させて、次の飛躍に向けた全日空商事のチャレンジを強力に支援しました。

「次の一手」を打つためには旧システムの刷新が不可欠

全日空商事は、その名が示すように、ANAグループの中核をなす総合商社です。「事業は非常に多岐にわたります。機内サービス・販売用物品の企画・調達、航空機部品の調達などの航空付帯事業だけでなく、紙・パルプや食品・ワインの輸入販売、半導体・電子部品の輸出入、インターネットショップの運営なども手がけています」と、企画室 室長 丸野勇氏は紹介します。
同社では4年ほど前、基幹系システムの見直し、再構築を契機としてERP導入に踏み切りました。まず2003年に経理システム、2004年には航空機部品調達システムをSAP®R/3®で稼働させました。次の課題として2005年に取り組んだのが、直販事業と紙パルプ事業の営業システム刷新でした。
直販事業とは、航空機内で使うあらゆる物品から機内サービスで販売するブランド品まで、幅広い商品の企画・開発、調達、輸入、販売を行う事業であり、紙パルプ事業は、パルプの輸入から原紙・原料販売、そして各種加工製品の取り扱いまで、川上・川中・川下にいたる全てのフィールドを活動範囲とする事業です。
「現場では、長年にわたって使ってきたシステムのレガシー化が進み、より高度な情報活用をするどころか、業務の効率化もままならずに不満が高まっていました」と、紙パルプ部 プロダクトチーム 鬼塚慎一郎氏は語ります。
直販部と紙パルプ部のシステムを全社の情報統合・システム統合という大きな流れの中で刷新し、経営の次の一手としての業務品質向上や企業価値創造に備えることが急務となっていました。

ITと経営の両面でメリットを出すSAP GTM導入を決断

当初、全日空商事では、経理システムや航空機部品調達システムを構築してきた流れに沿って、SAP R/3の購買/在庫管理(MM)と販売管理(SD)モジュールを中心に据えて、仕入から販売までを一元管理するシステムを構築しようとしていました。
しかしフィット/ギャップ調査をしているうちに気づいたのは、MMとSDだけでは、商社特有の機能を達成するのは困難だということでした。ちょうどその時期に、当社がSAP Global Trade Management(SAP GTM)をベースにしたシステム構築を提案し、全日空商事はこの提案を高く評価。SAP GTMを中核とした新営業システムの構築へと方向を転換したのでした。
SAP GTMは、日本の総合商社の要件をベースに開発されたSAPソリューションのひとつで、商社の代表的なビジネスモデルである売買取引プロセスを中心に、サプライヤからカスタマまでのサプライチェーンを統合管理しています。
「SAP GTMは商社特有の帳合や為替管理などもカバーしているため、今回の導入では、ほとんどアドオン開発する必要がありませんでした」と、企画室 IT推進チーム マネージャー 小野武氏はSAP GTMのフィット・レベルの高さを評価しています。さらに小野氏は、「SAP GTMを使えば、一度のデータ入力で、収益分析に必要な情報まで入手できるシステムを構築できるのも魅力だった」とも語っています。
SAP GTMを中核に据えた当社の提案は、単にシステムを置き換えるのではなく、利益管理の精度を高め、商社としての企業価値を高め、そして経営刷新に役立つシステム提案だったのです。

商社用テンプレート採用で5.5ヵ月という短期開発を実現

SAP GTMは、新しいソリューションであり、導入には相当な時間がかかると予想されていました。
しかし、全日空商事と当社は、実質5.5ヵ月間の短期間でシステム構築を成功させました。
「正直言って、こんな短期間で完遂するプロジェクトだと思っていませんでした。けれども予定通りに5.5ヵ月でカットオーバーできたうえ、稼働してから今日に至るまで、大きなトラブルもありません」と小野氏は語っています。
成功のポイントはいくつかありますが、技術面では、商社向けに開発されたSAP GTMテンプレートの採用が大きなポイントです。「商社のあるべき姿」が込められたテンプレートを用いて、商社/貿易の業務に精通した当社が要件定義を行うことで、フィット/ギャップ確認作業を最小限にとどめ、効率の良い要件定義作業を進めることができたのです。また、アドオン開発をほとんど行わず、テンプレートをできる限りピュアな状態で導入したことで、将来考えられるSAPのバージョンアップにもスムーズな対応が可能。運用コストの負荷を可能な限り削減しながら、常に最新のIT環境を維持できるシステムが実現できたのでした。
「アドオンをほとんど行っていないため、システム保守・運用のサービスプロバイダーの選択肢も広がり、結果として最もコスト効率の高い保守・運用体制を構築することができました。テンプレートの採用は、長期的な視点で見たTCO削減にも貢献しています」と、当社の犬飼仁は言葉を添えます。
当社の商社/貿易業務に関する知識・ノウハウや、プロジェクト管理力、顧客視点のアプローチも短期導入の推進力となりました。経営層を含めたステアリングコミッティ(プロジェクト意思決定機関)を結成し、定期的に「Quality Gate」と呼ばれる品質確認ミーティングを開催。問題点を早期に発見し、初期段階で解決するなど、多くのシステム導入プロジェクトに裏打ちされた、当社の管理手法、スキルが発揮されました。
「妥協を許さない姿勢を貫いて、要件定義の質を高めてくれました。業務を把握している私でさえもちょっと曖昧なままにしていたところを見逃さずに細かく突っ込んで確認し、要件定義をぐんぐん引っ張っていってくれました」と、直販部 成田事業所 マネージャー 平沢秀一氏は、当社のプロジェクト推進力を評価します。

高精度収支管理を駆使して高い収益性の実現へ

新営業システム「ATLAS」は、2006年4月に本稼働を開始。
「最大の構築効果は、得意先、仕入先、契約単位毎での収益が詳細に、かつ迅速に把握できるようになったことです」と小野氏は強調しています。今後は、精度の高い収益管理をベースに、より効果的な営業戦略を立案し、収益向上に向けたアクションをとっていくことができます。日々の業務処理精度、スピードが向上したことにより、決算の早期化も今後達成が見込まれるメリットのひとつです。
また、現場では、伝票フロー表示機能に高い評価があがっています。「受発注から会計に至るまでのプロセスが表示され、いまどこまで進んでいるかがひと目でわかります」と平沢氏は語っています。入力工数の削減、入力エラーやプロセスエラーの発生が低減するという効果は当初から予測されていました。さらにこれらのフロー管理を使いこなすことにより、案件管理の効率も高まり、客先への納期回答などもより早くなるものと予想されます。
その他にも、業務プロセスが確実にワークフローとして管理されるようになったことに伴い、入力者と承認者を明確に分ける文化も定着しつつあり、内部統制強化にも大きな成果を見出すことができました。

データウェアハウスを活用しさらなる飛躍を目指す

全日空商事では今後、SAP BWを活用し、データウェアハウス構築とエンドユーザー・コンピューティングによる管理帳票の多様化を実現していく方針を掲げています。
丸野氏は「いま全日空商事は、礎となっているANAグループの仕事を強化しつつ、視野を広げて、ANAグループ以外の仕事へ可能性を広げていこうとしています。収益管理を確実に行いつつ、柔軟なデータ活用によって営業戦略、そして経営戦略をサポートできるシステムの整備は、既存の収益基盤の強化に加えて新しいことにチャレンジしていく上で、避けては通れないデーマだと考えています」と今後を展望しています。
新たなる飛躍に向けて大きく翼を広げつつある全日空商事。SAP GTMを中核とした新営業システムは、その足元を確実に支えています。

※社名・役職などは掲載当時のものです。