曙ブレーキ工業株式会社

本社と国内グループ12社の人事システム統合により業務の標準化と効率化を実現
~そして、グローバル人財マネジメントへ~

国内にグループ会社12社、海外に10余拠点を持つ曙ブレーキ工業株式会社は、経営改革を推進する中で、解決すべき2つの人事課題がありました。1つめはグローバル展開を強化しマーケットでの競争力を高めるために、重要な資源となるグローバル人財情報の管理・活用、2つめは散在・老朽化していた国内人事給与業務システムを業務効率改善のために再構築を実施することでした。
これらの課題を解決するために、業務改善・ERPパッケージ導入に多くの経験を持つ当社は、コンサルティング会社としてプロジェクトに参画。
ERPパッケージとしてOracle E-Business Suite(Oracle EBS)を選定し、導入。2005年5月に本番稼働を迎えました。

2つの人事課題を解決するためにERPパッケージを活用

日本有数のグローバル企業であり、国内ではディスクブレーキシェア40%(2005年)を誇る曙ブレーキ工業は、さらなる経営改革を図るために、2つの人事課題を解決する必要に迫られていました。1つめは、世界的な経営環境の変化に対応するために必要な、グローバル展開の強化を支える、本社・海外拠点を横断したグローバル人財の開発・管理・活用、2つめは、経営を支える人事業務・システムの標準化・効率化でした。
この2つの課題を解決するために、人事業務改革プロジェクトを立ち上げました。プロジェクトメンバーは、業務改革を実施するためには、改革そのものに加えて業務を支える重要なインフラであるITの改革も必要であり、そのツールとしてERPパッケージを活用することが、最適な手段であることはわかっていました。
しかし、社内だけでこのプロジェクトを完成させるには、メンバーの経験が不足していると感じ、多くのパッケージベンダーに声をかけながら、人事課題解決を支援するコンサルティング会社を探していました。約半年の準備期間を経て、人事業務システム改善に多くの経験を持ち、ベンダーフリーの立場をとる当社とプロジェクト構想フェーズとパッケージ選定を実施、その後、展開計画を策定することとしました。

本質的な課題の捕捉と解決の優先順位を決定

2004年4月、構想フェーズに参画した当社は、まずクライアントが持つ本質的な課題を捕捉することに着手しました。この作業は、人事課題として挙がりました。2つのテーマを細分化し、曙ブレーキ工業が持つ課題を、最も効率的に解決していく優先順位をつけ、ソリューションを提示していくことが目的でした。数多くの議論を尽くし、(1)人事システムの本社+主要4社のためのグループ標準モデルの構築、(2)グループ標準モデルの各社展開と人財情報の収集・管理、(3)管理された人財情報の活用とグローバル展開、という3つのフェーズからなる業務・システム改革を実施するアプローチを採用することになりました。
このアプローチは、本社を中心とした業務プロセス・システムを「グループ標準モデル」として構築し、安定稼働を経てグループ会社に展開する、「無理のない」アプローチです。
国内全社をいっせいに改革し、システム化するアプローチも採用の候補に挙がりましたが、曙ブレーキ工業スタッフの負担や、グループ会社設立の背景から、3フェーズのアプローチが最適であると判断されました。
パッケージ選定では、いくつものパッケージの中から、曙ブレーキ工業が必要とする業務機能をもっとも多く持ち、かつ独自の要求に応える柔軟性も兼ね備えたOracle EBSがインフラとしてのERPパッケージとして選択されました。

豊富な経験とノウハウにより課題を解決

構想フェーズに引き続き、Oracle EBSの数多くの導入実績を持つ当社が、導入コンサルタントとして指名を受けました。2004年7月から開始された要件定義は順調に滑り出しましたが、設計・導入フェーズとプロジェクトが進んでゆく中、全ての作業が順調であったわけではありませんでした。しかし、曙ブレーキ工業の努力と当社の豊富な経験とノウハウにより、2005年4月に並行稼働開始、同年5月に本番稼働を迎えたのです。

業務効率の向上とコスト削減を実現(第1フェーズ)

ERPパッケージのスタンダードに沿って構築されたグループ標準業務モデルと、EUCツール(Oracle Discoverer)の活用により、人事業務は改革されました。業務効率は向上し、人件費も削減され、期待された導入効果が得られました。また、可能な限りERPパッケージの標準機能を活用した「小さく生んだシステム」により、保守費用削減の効果も見込めています。
曙ブレーキ工業株式会社 人事業務改革プロジェクトリーダーの前上亮子氏は、以下のように語っています。「まずはほっとした、という感じでした。ERPパッケージの導入、コンサルタントとの協業はともにはじめての経験で、要件定義から設計の段階では、いったいどうなることか、と心配した時期もありました。でも、自社のメンバーとコンサルタントを信じ、目標に向かって邁進していった結果、ゴールテープを切ることができました。グループ標準モデルが完成し、経営目標に寄与することができたことだけではなく、メンバー全員が自信を持ち、達成感が得られたこともプロジェクトの成果として大きいと思います」
同社人事業務改革プロジェクトのサブリーダー、桝谷敦氏は「費用と時間をかければ、何でもできるでしょう。しかし、私たちは業務をERPパッケージの機能に合わせて、業務効率を上げていくことを選択した。やりたいことはたくさんあり、コンサルタントと衝突することもあった。でも、コンサルタントの経験を信じて業務改善に取り組んだ結果、期待通りの導入効果が得られたと思っています」と、成果を語っています。
同時に、「まずは限られた予算、期間での構築と安定稼働を目指しましたが、使っているうちに追加したい業務機能も出てくるし、改善要素も見つかる。これらについても自分たちで考え、コンサルタントと議論を交わして、順次対応していきたいと考えています」と、さらなる導入効果向上にも積極的に取り組んでいます。

副次的導入効果として業務ポリシーを見直すきっかけに

当初の目的であった業務・システムのグループ標準モデルは完成しました。しかしここにもうひとつ、業務改革を通じての副次的効果がありました。前上氏は、「正直、グループ内の業務手順が、これほど個人に依存しているとは思いませんでした。今回の業務改革とシステム再構築は、人事課題の解決だけではなく、グループ全体の業務ポリシーを見直す良いきっかけにもなりました」と語っています。この言葉は、今回の人事業務改革プロジェクトが、日本の上場企業が取り組まなければならない「内部統制」の基盤作りの一助となっていることもあらわしています。

スキルトランスファーで低コストの保守・運用を目指す(第2フェーズ)

「第2フェーズは、完成したグループ標準モデルの展開なので、自社スタッフ中心に、低コストで実施することも考えました。しかし、コンサルタントが提案する、標準モデルと追加導入各社とのFIT&GAP分析を通じた安定した導入作業に期待をし、再度発注することを決定しました」(前上氏)
同時に当社は、社内でERP保守を実現するためのスキルトランスファーを提案しました。コンサルタントと共同作業を通じてスキルを身に付けるスキルトランスファーにより、近い将来は保守費用の外部流出を避け、低コストでの保守・運用を目指しています。

そしてグローバル人財マネジメントに向けて

「曙ブレーキ工業を含む日本の製造業は、世界各地に市場と労働力を求め、グローバル展開をしています。グローバル展開にあたっては、当社の経営理念、マーケットでのミッションをより深く理解し海外で活躍できる人財を、国内人財・海外人財の垣根を外して確保・育成をすることが求められています。グローバルに活躍できるコア人財をグローバルで把握して、世界各国に配置ができるしくみが必要であるということです。そのためには、人財情報の管理・活用をより一層充実させることが重要なのです」(前上氏)
人による管理から、情報による管理へ転換し、それを支えるインフラである人事システムを強化することにより、曙ブレーキ工業はさらなる発展を目指しています。

※社名・役職などは掲載当時のものです。