プライスウォーターハウスクーパース、「役員報酬サーベイ2012」の結果を発表

-役員報酬水準は上位役位で減少傾向。社外取締役の選任企業数は増加-


プライスウォーターハウスクーパース株式会社

プライスウォーターハウスクーパース株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:椎名 茂)は、11月21日、「役員報酬サーベイ2012」の結果を発表しました。本調査は、日本企業の昨今の役員制度や報酬水準の動向を把握すべく、当社が2007年より毎年実施しているものです。日本国内の企業(外資系企業の日本支社含む)を対象に、役員各位の報酬水準、ガバナンス体制の実態などについて、上場・非上場企業67社(集計対象役員数1,393名)から回答を得ています(調査期間:2012年6月~9月)。

その結果、報酬水準は前回調査結果と比較して、特に常務以上の上位役位において減少傾向が確認されました。また、コーポレートガバナンスの観点では、全回答企業中、社外取締役を選任している企業は77%(46社)であり、前回調査結果と比較して2%増加しています【図6】。選任されている社外取締役のうち、独立性の高い社外取締役(親族もしくは個人的なつながりがある、自社の従業員出身、取締役との相互派遣や重要なつながりを有している、などが該当しない社外取締役)は61%であり、現段階では独立性が担保されていない社外取締役も存在することがうかがえます【図7】。

2012年の会社法改正要綱案では、社外取締役の選任義務化は見送りとなりましたが、社外取締役を設置しない場合には社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告書に開示することが義務化されました。その結果、企業における社外取締役選任、および独立性担保への意識は今後ますます高まっていくことが予想されます。

「役員報酬サーベイ2012」主な調査結果

本調査結果の概要と分析は、レポート「役員報酬サーベイ2012」に収録しています。

1. 役員報酬水準の推移 【図1】
役員報酬水準は前回調査結果に比べ上位役位で減少傾向

  • 全回答企業における役員報酬水準は、上位役位で減少しています(社長の報酬総額で4.3%減少、全役位の報酬総額で5.7%減少)。

【図1】 全回答企業 報酬総額の推移(役位別 / 1人当たり平均)
【図1】 全回答企業 報酬総額の推移(役位別 / 1人当たり平均)

2. 報酬ポリシーの策定・開示状況 【図2】
各企業における報酬ポリシーの開示対応・開示内容の詳細化は段階的に進展

  • 報酬ポリシーの項目・内容によってその策定・公開状況には大きな差があります。
  • 役員報酬を決定する上で重視する観点について開示している企業は、全回答企業のうち上場企業53社中60%です。

【図2】 有価証券報告書等における上場企業の役員報酬ポリシー策定・開示状況
【図2】 有価証券報告書等における上場企業の役員報酬ポリシー策定・開示状況

「制度の詳細」における各報酬要素の詳細については、当該報酬要素を導入している企業のみを母数として集計しています。

*1 LTI(Long Term Incentive):
ストックオプションなどに代表されるインセンティブであり、中長期的な業績・企業価値増大への貢献を踏まえ支給するもの。中長期インセンティブ。

3. 業績に連動 した報酬の潮流 【図3】
各企業における変動報酬(業績連動報酬・株式報酬等)の導入比率に大きな変化はなし

  • 全回答企業において業績連動報酬の導入比率は、前回調査結果に引き続き80%を超えているものの、同水準に留まっています。これは、業績連動報酬の損金算入基準を考慮し、あえて業績連動報酬の導入を避け、翌期の固定報酬に反映させるなど、他の報酬項目により業績連動性を確保する工夫をし続けている企業が、一定数存在するものと考えられます。
  • 中長期インセンティブの中では、ストックオプションと株式報酬型ストックオプション*2が主流となっています。過去の調査結果と比べ、これらの導入比率に大きな変化は見られません[図3下補足参照]。

【図3】 変動報酬の報酬要素別導入割合
【図3】 変動報酬の報酬要素別導入割合

*2 株式報酬型ストックオプション:
権利行使価格を極めて低く(多くの場合1円)設定し、株式譲渡と同じ効果を狙ったストックオプション制度。
*3 現物株支給:
役員に対して株式を譲渡するか、ないしは株式購入用の現金を支給して株式を購入する制度。
*4 ファントムストック:
実際の株式売買を伴わないものの、現金支給の額自体が株価を基準として決まる方式のインセンティブ。
*5 中長期ボーナス:
複数年度にわたる業績(利益額など株価以外の指標による)を基準として支給額が決まるインセンティブ。

[補足]
株式報酬については、情報・通信業や卸売業における株価上昇の影響もあり、社長の株式報酬水準上位層において顕著な水準上昇が確認されました。当該企業においては報酬に占める株式報酬比率が相当な割合となっており、欧米型の役員報酬に近い形も徐々に出現してきていることがうかがえます。

また、株主から批判の高い役員退職慰労金について、これまで廃止後の代替報酬振り替え先として固定報酬に次ぎ株式報酬型ストックオプションが選ばれるケースが多くありましたが、今年度その傾向は鈍化し、業績連動報酬への振り替え件数の進展が確認されました。特定役員(役員等勤続年数が5年以下である人)への税制優遇廃止を受け、株式報酬型ストックオプションへの振り替えメリットが減少したことも、その一因と考えられます。

 

4. ガバナンス強化に向けた取り組み 【図4、5、6、7】
報酬委員会の実行的な運営および社外取締役の要件厳格化への企業の対応状況が進展

  • 全回答企業中、報酬委員会を設置していると回答した企業は43%であり、2011年度の平均開催回数は3.5回でした。近年開催回数は増加傾向にあり、約半数の企業は年3回以上開催しています【図4、5】。
  • 上記は、改正内閣府令で有価証券報告書において報酬額・ポリシーをより詳細に開示するよう求められたことにより、報酬決定プロセスの透明性を高める動きが進展しているといえます。
  • 全回答企業中、社外取締役を選任している企業は77%であり、昨年度と比較して2%の増加が確認されました。選任されている社外取締役のうち、一定の独立性*6を有する社外取締役の比率は61%です【図6、7】。
  • 2012年の会社法改正要綱案では、社外取締役の選任義務化は見送りとなりましたが、監査役会設置会社で、かつ有価証券報告書提出会社は、社外取締役を設置しない場合には社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告書に開示することが義務化されました。その結果、企業における社外取締役選任、および独立性担保への意識は今後ますます高まっていくことが予想されます。

【図4】 報酬委員会の設置状況  【図5】 報酬委員会の開催回数
【図4】 報酬委員会の設置状況  【図5】 報酬委員会の開催回数

【図6】 社外取締役の選任状況
【図6】 社外取締役の選任状況

【図7】 社外取締役の独立性 (n = 113)
【図7】 社外取締役の独立性 (n = 113)

*6 独立性:
独立性の高い社外取締役とは、以下のいずれにも該当しない社外取締役と定義

  • 親族もしくは個人的つながりがある
  • 自社の従業員の出身である
  • 取締役との相互派遣や重要なつながりを有している
  • 主要株主、もしくは特定の利益団体である
  • 自社との金銭上の関係を有している
  • 自社の業績連動報酬、ストックオプション、年金の受給資格者である
  • 競合他社の取締役を兼務している
 

「役員報酬サーベイ2012」 調査概要

調査期間: 2012年6月~9月
調査目的: 日本企業の役員体制・役員報酬水準・役員処遇等に関する動向を明らかにする
調査方法: 調査票(電子ファイル形式)の送付による自記式アンケート
回答企業数: 上場企業・非上場企業計67社(集計対象役員数 1,393名)

用語の定義

役員報酬総額: 固定報酬、業績賞与、役員退職慰労金の年間積増額等を含んだ総支給額
固定報酬: 有価証券報告書において、「基本報酬」「月額報酬」などと表記さているもの
業績連動報酬: 有価証券報告書において、「業績変動報酬」「賞与」などと表記されているもの

*本調査結果の転載・引用について

本調査結果を転載・引用の際は、出典の明記をお願いします。
プライスウォーターハウスクーパース株式会社「役員報酬サーベイ2012」

以上

プライスウォーターハウスクーパース株式会社について
プライスウォーターハウスクーパース株式会社は、ディールアドバイザリーとコンサルティングを提供する国内最大規模のコンサルティングファームです。M&Aや事業再生・再編の専門家であるディールアドバイザリー部門と経営戦略の策定から実行まで総合的に取り組むコンサルティング部門が連携し、クライアントにとって最適なソリューションを提供しています。世界158カ国、180,000人以上のスタッフを有するPwC(PricewaterhouseCoopers)のネットワークを活かし、国内約1,300名のプロフェッショナルが企業の経営課題の解決を支援しています。