プライスウォーターハウスクーパース、「役員報酬サーベイ2010」の結果を発表

-報酬水準は回復傾向に/今後の課題は報酬ポリシー策定とさらなる開示に向けた準備-


プライスウォーターハウスクーパース株式会社

プライスウォーターハウスクーパース株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:内田士郎)は、12月2日、「役員報酬サーベイ2010」の結果を発表しました。本調査は、日本企業の昨今の役員制度や報酬水準の動向を把握すべく、当社が2007年から毎年実施しているものです。日本国内の企業(外資系企業の日本支社含む)を対象に、役員報酬水準の経年推移、企業側の対応の実態、業績連動性向上の潮流などについて、上場・非上場企業計103社(集計対象役員数1,718名)から回答を得ています(調査期間:2010年7月~9月)。

その結果、役員報酬水準は前回調査結果に比べ上昇しており、経済危機前の水準近くまで回復していることがわかりました【図1-1】。本年3月に金融庁によって施行された「企業内容開示に関する改正内閣府令」では、上場会社について、有価証券報告書に「提出日現在において報酬等の額又はその算定方法の決定方針がある場合、その内容及び決定方法」を開示することが求められました。同府令に基づく報酬ポリシーの開示については、開示に積極的な企業とそうでない企業との間の開示内容に二極化の傾向が現れています【図2-2】。

当社では、企業内容の開示強化に向けた国内外のトレンドを踏まえ、多くの日本企業にとってアカウンタビリティの高い報酬ポリシーの策定とさらなる開示に向けた準備の必要性が高まると見ています。なお、企業の対応については、監査役会設置会社において義務化されていない報酬委員会を新たに設置した企業が回答企業の約2割にのぼり、来年度の開示に向けた準備・体制を講じつつある企業が増加しています【図3】。本調査の主な結果は以下のとおりです。

「役員報酬サーベイ2010」 主な調査結果

本調査結果の概要と分析は、レポート役員報酬サーベイ2010に収録しています。

1. 役員報酬水準[図1-1、1-2、1-3]
役員報酬総額は前回調査結果から増額。多くの役位において報酬額は上昇トレンドに

  • 全回答企業で見た役員報酬総額は多くの役位で前回の2009年調査結果から増額しており、2007年調査結果と2008年調査結果の水準の間に位置する役位が多くなっています。
  • 全企業・一部上場・売上高5,000億円以上のいずれのセグメントで見た場合にも、役員報酬水準は前回調査結果に比べ上昇しており、概ね経済危機前の水準近くまで回復しています。
  • 中長期的に見た場合、これまで日本企業の役員報酬水準は上昇トレンドにありましたが、経済危機による一時的な減額を脱し、再び従来からのゆるやかな上昇トレンドに戻ったと考えられます。

【図1-1】全調査企業 報酬総額の推移(役位別/1人あたり平均)
【図1-1】全調査企業 報酬総額の推移(役位別/1人あたり平均)

【図1-2】一部上場企業 役員報酬総額の推移(役位別 / 1人あたり平均)
【図1-2】一部上場企業 役員報酬総額の推移(役位別 / 1人あたり平均)

【図1-3】売上高5,000億円以上の企業 報酬総額の推移(役位別 / 1人あたり平均)
【図1-3】売上高5,000億円以上の企業 報酬総額の推移(役位別 / 1人あたり平均)


2. 金融庁の「企業内容開示に関する改正内閣府令」への対応[図2-1、2-2]
報酬ポリシーの開示要求に対して、各企業における開示対応は二極化傾向

  • 報酬ポリシーの内容(項目別策定・開示状況)については、報酬ポリシーの項目・内容によって、その策定・公開状況に大きな差がある結果となりました。
  • 報酬パッケージの内容を定めている企業数は多いものの、その詳細を開示した企業は少なく、報酬要素構成や決定・関与機関に関する記述が開示内容の中心となっています。
  • 報酬ポリシーの策定・開示状況の分布については、積極的な対応をすでに進めている企業群と、策定のあまり進んでいない企業群に二極化する傾向にあります。

【図2-1】2010年3月期の有価証券報告書における参加企業の役員報酬ポリシー開示状況
(策定・開示項目別)
【図2-1】2010年3月期の有価証券報告書における参加企業の役員報酬ポリシー開示状況(策定・開示項目別)

*1 LTI(Long Term Incentive):ストックオプションなどに代表されるインセンティブであり、中長期的な業績・企業価値増大への貢献を踏まえ、支給するもの。


【図2-2】2010年3月期の有価証券報告書における役員報酬ポリシー策定・開示状況の分布
(回答企業のうち上場企業)
【図2-2】2010年3月期の有価証券報告書における役員報酬ポリシー策定・開示状況の分布(回答企業のうち上場企業)


3. 統治機構の独立性向上の動向[図3、4]
役員報酬ポリシーの開示の義務化・社外取締役の要件厳格化に伴い、企業側の対応が進展

  • 回答企業(監査役会設置会社)のうち、報酬委員会を設置していると回答した企業は32%でした。この中で、報酬委員会を新たに設置した企業は18%にのぼります。これは、改正内閣府令で有価証券報告書において報酬額・ポリシーをより詳細に開示するよう求められたことにより、報酬決定プロセスの透明性を高める動きが進展しているといえます。
  • 社外取締役を選任している企業は、回答企業のうち60%であり、前回調査結果と比較して約6%増加しました。また、社外取締役の選任時に重視する基準には、「独立性」を挙げる企業が3番目に多く(33社)、社外取締役の独立性に関する企業側の意識が高まっているといえます[選択式/複数回答]。

【図3】報酬委員会の設置状況
【図3】報酬委員会の設置状況


【図4】社外取締役の選任状況
【図4】社外取締役の選任状況


【図5】社外取締役の選任時に重視している基準
【図5】社外取締役の選任時に重視している基準



本調査における用語の定義

固定報酬: 有価証券報告書において、「基本報酬」「月額報酬」などと表記されているもの
業績賞与: 有価証券報告書において、「業績連動報酬」「業績変動報酬」「賞与」などと表記されているもの
役員報酬総額: 固定報酬、業績賞与、役員退職慰労金の年間積増額等を含んだ総支給額

「役員報酬サーベイ2010」概要

調査期間: 2010年7月~9月
調査目的: 日本企業の役員体制・役員報酬水準・役員処遇等に関する動向を明らかにする
調査方法: 調査票(電子ファイル形式)の郵送による自記式アンケート
回答企業数: 上場企業・非上場企業計103社(集計対象役員数1,718名)

*本調査結果の転載・引用について

本調査結果を転載・引用の際は、出典の明記をお願いいたします。
プライスウォーターハウスクーパース株式会社 「役員報酬サーベイ2010」

以上

プライスウォーターハウスクーパース株式会社について
プライスウォーターハウスクーパース株式会社は、ディールアドバイザリーとコンサルティングサービスを提供する国内最大規模のコンサルティングファームです。M&Aや事業再生・再編の専門家であるディールズ部門と経営戦略の策定から実行まで総合的に取り組むコンサルティング部門が連携し、クライアントにとって最適なソリューションを提供しています。世界154カ国、161,000人以上のスタッフを有するPwC(PricewaterhouseCoopers)のネットワークを生かし、国内約1,600名のプロフェッショナルが企業の経営課題の解決を支援しています。
PwC Japanについて
PwC Japanは、あらた監査法人、プライスウォーターハウスクーパース株式会社、税理士法人プライスウォーターハウス クーパース、およびそれらの関連会社の総称です。各法人はPwCグローバルネットワークの日本におけるメンバーファームであり、それぞれ独立した法人として業務を行っています。
複雑化・多様化する企業の経営課題に対し、PwC Japanでは、監査およびアシュアランス、アドバイザリー、そして税務における卓越した専門性を結集し、それらを有機的に協働させる体制を整えています。また、公認会計士、税理士、その他専門職員約4,000人を擁するプロフェッショナルサービスファームとして、クライアントニーズにより的確に対応したサービスの提供に努めています。